うつ病の症状が温熱療法で改善する
がんの治療では温熱療法が有効で、保険も適用されています。
最近の研究では、全身の温熱療法がうつ病でも有効だというのです。
この研究を発表したのはアメリカのウイスコンシン大学とアリゾナ大学の研究グループです。
どうしてうつ病に温熱療法が有効なのでしょうか?
そして、
日本ではうつ病の温熱療法を受けることができるのでしょうか?
うつ病の温熱療法に興味はありませんか?
そこで、うつ病の温熱療法について調べてみました。
全身温熱療法でうつ病が改善する
体全体を体表を温める、全身温熱療法によって、うつ病患者の症状が改善したとの研究結果が報告されました。
この論文を発表したのは、アメリカのウィスコンシン大学とアリゾナ大学の研究者のグループです。
Whole-Body Hyperthermia for the Treatment of Major Depressive Disorder: A Randomized Clinical Trial.
Limitations of current antidepressants highlight the need to identify novel treatments for major depressive disorder. A prior open trial found that a single session of whole-body hyperthermia (WBH) reduced depressive symptoms; however, the lack of a placebo control raises the possibility that the observed antidepressant effects resulted not from hyperthermia per se, but from nonspecific aspects of the intervention.
詳しく見る ⇒ JAMA Psychiatry. 2016 Aug 1;73(8):789-95.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27172277
温熱療法は、赤外線や超音波、マイクロ波などで体の一部や全身温める治療法で、アメリカではがん補助療法としてりようされているが、
研究グループは、
温熱療法を受けたがん患者のうつ症状が改善したという報告に着目し、
温熱療法がうつ病患者のうつ症状を改善するかを調べたのです。
研究では、
ウィスコンシン大学の医療センターで、うつ病と診断された患者の中から、
30名のうつ病患者(18~65歳)を無作為に選び、無作為二重盲検無作為試験を行ったのです。
二重盲検試験というのは、医者も患者もどのような治療を受けているかを知らされていない試験で、試験終了後に、どの治療を受けたかが明らかにされる試験です。
具体的には、
うつ病の症状を評価
試験開始前に、「ハミルトンうつ病評価尺度」でうつ病の重症度を評価し全員が16点以上(中程度以上)を確認
全身温熱療法
対象者である30名のうつ病患者には、全員に「全身温熱療法を施術する」と説明し、
- 16名 : 温熱療法
- 14名 : 温熱療法ではない療法
を、
6週間に亘って実施し、1週間毎に「ハミルトンうつ病評価尺度」でうつ病の度合いを評価したのです。
なお、6週間の試験期間中は、全員が医者から処方された抗うつ薬の服用を中止しています。
全身温熱療法とは、英語ではwhole-body hyperthermia (WBH) と言うようで、サウナスーツのような着衣を着て全身を温めるのです。
その結果、
温熱療法を受けたうつ病患者の、「ハミルトンうつ病評価尺度」は、温熱療法を受けていなかった人に比べて、
- 1週目 : 6.53点減少
- 2週目 : 6.35点減少
- 4週目 : 4.5点減少
- 6週目 : 4.27点減少
と、うつ病の症状改善が確認されたのです。
研究者グループは、
全身温熱療法は、他のうつ病の治療法に比べて、安全で効果が期待できる治療法となるのではないか
とのべ、今後、さらに対象数を増やして検証する必要があるとしています。
Sponsored Link
温熱療法とは
温熱療法とは、赤外線、超音波、マイクロ波などを利用して、体の一部分や全身を温め、治療する方法で、症状や目的によって、39~42度まで温めます。
特に、がん細胞は正常細胞に比べて熱に弱いことが多くの研究によって明らかにされており、がん細胞は42.5度以上の温度で死滅すると言われています。
日本においても、温熱療法ががん治療法として認められています。
体内にできたがん細胞を、がん細胞が死滅する42.5度以上に温めることは困難ですが、高周波ハイパーサーミアによる高周波エネルギーを用い、がん細胞にダメージを与えることができるのです。
正常組織には豊富な血管があり、正常組織を温めても血流により放熱され、高温になることはないのですが、がん組織には血管が少ないため、正常組織に比べて蓄熱されやすく、高温を保つことができるのです。
がん組織は、血管が少ないので血流不足、酸素不足により、細胞の代謝による乳酸が溜まりやすいためがん組織は酸性に傾き、 そのため熱に弱く、死滅するのです。
天然の全身温熱療法として、秋田県の玉川温泉が有名で、がんや様々な病を患った患者が温泉による地熱を利用した天然の全身温熱療法の場として訪れています。
うつ病における温熱療法
2012年02月12日に放送された、「NHKスペシャル ここまで来た!うつ病治療」の中で、
うつ病患者では脳内の血流が悪くなる
ということが紹介されました。
詳しく見る ⇒ NHKスペシャル
がんの温熱療法は保険が適応されていますが、うつ病では未だ承認されていません。
しかし、
ネットで、「うつ病」+「温熱療法」で検索すると、うつ病の温熱療法を施術しているクリニックはあるようです。
- 東京都 中央区の心療内科 ミチワクリニック
- アドナイエレ温熱療法院
それらのサイトで、
うつ病の温熱療法の効果についてどのように説明しているのかというと、
うつ病は、ストレスからくる自律神経失調症が起こした病気です。精神病ではありません。
ストレスから脳下垂体(前頭前野)に血液が供給されず、うつ病が起きているのです。
脳下垂体に血液を送り込むと、目が覚めたように改善していきます。
さらに、
うつ病・不眠・パニック障害はストレスから起こる病気です。
ストレスによる交感神経の過剰な興奮は、体全体が緊張状態になり、血管が細くなって、血流が滞り、その結果体が冷えて低体温になります。
そして、
低体温は脳のセロトニン不足を引き起こし、うつ病や不眠やパニック障害を引き起こします。
パニック発作が体温を上げるひとつの反応であるとも言われているようにうつと低体温は連動しています。
ということで、
- うつ病
- 不眠
- パニック障害
などにおいては、温熱療法で改善する例が多数みられるとしています。
良く眠れないときに、温めのお風呂に長く入ると良く眠れるというのは、リラックスして交感神経の興奮が治まるからです。
全身温熱療法を簡単にできる方法があります。
それは、
日光を浴びることです。
日光の遠赤外線を浴びれば、全身の血流が良くなります。
さらに、
日光を浴びての早足でのウオーキングやジョギングで体温を上げればさらに効果的。
日光を浴びるだけでも脳内のセロトニンが増えるのです。
Sponsored Link