今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
TMSという新たなうつ病の治療法をご存じですか?
TMSは日本うつ病学会がが厚労省に申請中の新しいうつ病の治療法です。
TMSは磁気刺激治療法ともいわれるうつ病に対する新しい治療方法で、
薬物療法で効果がないうつ病患者の治療に有効な新しい治療法
だとされています。
TMS療法とはどんな療法なのか?
TMS療法はどこで受けられるのか?
調べてみました。
金原出版がうつ病の新しい治療法のセミナーを開催
金原出版が、先日、東京都内で「うつ病の新しい治療法」に関するセミナーを開催したとのニュースがありました。
講師は、国立精神・神経医療研究センター病院 精神先進医療科医長の鬼頭伸輔氏だったようです。
金原出版は医学系専門書の出版会社ですが、どうして出版会社がセミナーを、、と思ったら、この本でした。
3ヵ月ほど前、2016年6月に、セミナーの講師である鬼頭伸輔氏が、金原出版から、「うつ病のTMS療法」という本を出版したのです。
本の中で、鬼頭氏は、
経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)は、非侵襲的に脳を刺激することで、脳活動を変化させる技術である。規則的な刺激を連続して行うものを反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)という。
海外では、2008年に薬物療法に反応しないうつ病患者への治療方法として認可されている。
日本でも、2016年6月現在、薬物療法に反応しないうつ病患者に対して、rTMS療法が薬事承認審査中である。
こうした現状をふまえると、近い将来、国内でも、rTMSが新規抗うつ療法として承認され、臨床現場に導入されていくことが予想される。
と、TMSの療法の有用性を説いています。
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うつ病の新しいうつ病の治療法TMSとは
TMSは、
薬物療法で効果がないうつ病患者の治療に有効な新しい治療法
とされています。
国内には、約3割のうつ病患者は、休養と環境調整、抗うつ薬などのあらゆる療法でも改善しないといわれ、
薬物療法で効果がないうつ病患者は30万人いると推計されています。
新しい、新しい、、といわれる治療法ですが、実はそんなに新しくはないのです。
アメリカでは2008年に、日本の厚労省に相当するアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を得て、既に1万人以上が施術を受けていると言われています。
国内でも、
日本うつ病学会が2016年6月に厚労省に申請しています
ですから、日本では「未承認の新しい治療法」なのです。
TMS療法とは
TMS療法とは、「repetitive T14Tanscranial M7Mgnetic S16Simulation」の略で、TMSあるいはrTMSといわれます。
日本語では、「磁気刺激治療」、「経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)」などさまざまな呼び方があります。
このTMS療法は、うつ病のほかにも、精神科疾患、神経内科疾患などに効果があるといわれ、既に、保険適用外ではあるものの、脳卒中後のリハビリ治療として利用されています。
うつ病におけるTMS療法は、
- 8の字型の電磁石などを用い、
- 脳の背外側前頭前野を磁気刺激で活性化し、
- 意欲や思考力を正常に機能させ、
- 二次的に扁桃体の過剰な活動を抑制させる
治療法なのです。
すなわち、
脳に規則的な刺激を繰り返し与え、脳の活動を変化させることで、抗うつ薬の効果が得られない薬物療法抵抗性うつ病患者でのうつ症状の改善が期待される療法です。
具体的には、
- 1日に40分程度の電気刺激を、
- 急性期では週に5日の治療を4~6週間実施し、
- 徐々に週3~2日と回数を減らしていく
のが一般的です。
磁気を用いて脳の特定の部位に働きかけ、脳の血流量を増加させることによって低下した機能を元に戻していくことで改善が期待でき、
薬物治療や電気けいれん療法 (ECT)に比べて、副作用が少なく安全性が高いともいわれています。
副作用としては、
頭痛を感じている患者も3~5割程度の患者で頭痛を感じる
のだそうですが治療回数を重ねるうちに痛みはなくなるといわれています。
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直ぐにTMS療法を受けるには
TMS療法は、国内では厚労省に申請中ですが、厚労省の認可がおりるまだ1~2年はかかるかも知れません。
しかし、
国内でもTMS療法を自由診療として実施しているクリニックもあります。
宣伝になるので実名は差し控えますが、
東京新宿の高層ビル24階にある「新宿〇〇〇クリニック」では、
63台のTMS機器を備えてうつ病や各種疾患の治療を行っています。
しかし、日本では未認可ですから保険が適用されない自由診療となり、全額が自費となりますから、かなりの高額になります。
新宿〇〇〇クリニックでは、
- 1回40分(約6万円)×30回が目安
だとし、完治率は60%、改善率は80%としていますが、治療費の総額は100万円~200万円にもなります。
先の、鬼頭氏は、「TMS治療専門で経営している医療機関よりも、うつ病の治療を行っており、かつ、TMS療法を施術している医療機関の方が良いのではないか」と指摘しています。
辛いでしょうが、もう少し待ってください。
それまでは、調子の良いときには外に出て太陽に当たる、など、気分転換も図ってください。
TMS療法の承認状況についてはまた分かり次第、情報をアップいたします。
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