今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
精神疾患の新薬開発に携わっていた私が言うのも何ですが、最近はうつ病は生活習慣病だとも言われるように、
薬だけに頼らず食生活・運動などを含めた生活習慣の見直しも重要だとされています。
さて今日も科学的根拠に基づいたうつ病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
厚労省の調査ではうつ病の患者数は110万人に達しており、10人に1人がうつ病だともいわれているのです。
うつ病の男女比では、女性は男性より2倍もうつ病になりやすいといわれており、
うつ病は30~40歳代の女性に特に多いのです。
女性にうつ病が多い理由は、女性はホルモンの関係でうつ病になりやすいのです。
そして、女性がなりやすい3つのうつ病とがあるのですが、
あなたも女性がなりやすい女性特有の3つのうつ病には充分に気を付けてください。
女性は男性よりうつ病になりやすい
厚労省の調べでは、精神疾患によって医療機関で受診している患者数は、平成23年は320万人で、
その内訳は、患者数の多い順から、
- うつ病
- 統合失調症
- 不安障害
- 認知症
などで、特にうつ病と認知症の著しい増加が指摘されています。
日本における、うつ病などの気分障害患者数は,
1996年には43.3万人、
1999年には44.1万人でしたが、
2000年以降急激に増加し、
2002年には71.1万人、
2005年には92.4万人、
2008年には104.1万人に達し、
急激に増加しているのです。
欧米における、
うつ病の、
- 過去12カ月に経験した者の割合である、12ヵ月有病率は 1~8%、
- これまでにうつ病を経験した者の割合である、生涯有病率は 3~16%
と言われていますが、
日本では、
- 12カ月有病率は 1~2%、
- 生涯有病率は 3~7%
と、欧米に比べると低く、さらに増加する可能性もあるのです。
うつ病は、一般的には女性や若年者が多のですが、日本では女性や若年者に加え中高年でも罹患頻度が高く、うつ病に対する社会経済的影響が大きいとされています。
女性は男性2倍うつ病になりやすい
女性にうつ病が多いことは、世界的な傾向で、女性は男性の約2倍もうつ病に罹りやすいと言われています。
うつ病における男女差の原因としては、
- 女性ホルモンの影響
- 妊娠や出産
など、女性特有のうつ病のリスクに加えて、
男女の社会的役割の格差
なども関与していると言われています。
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女性がなりやすい3つのうつ病
女性は男性より、うつ病になるリスクが2倍も高いのです。
その原因は、
- 女性ホルモンの影響
- 妊娠や出産
という、女性の特有の体の仕組みによるものなのです。
さらに、男女均等法により、男女の格差はなくなりましたが、
家庭においても、社会においても、
- 男女の社会的役割の格差
は、依然として残っており、
これらの要因によって女性はうつ病のリスクが高いのです。
女性では、ホルモンの変化によってうつ病が引き起こされる可能性が高いことから、
女性が罹りやすい、女性特有の3つのうつ病があるのです。
それは、
- 更年期障害のうつ病
- 産後うつ病
- 生理中のうつ病
です。
① 更年期障害のうつ病
更年期は、45~55歳頃にかけて全ての女性において見られる現象です。
女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)は思春期から増加しますが、20~30歳をピークにして、50歳頃に急激に低下します。
この、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下に伴う様々な身体の変調が「更年期障害」なのです。
更年期障害では、
- ほてりやのぼせ、
- めまい
- 動悸
- 手足の冷えやしびれ
- 頭痛や肩こり
- 倦怠感
- 食欲不振
- 不眠
など、非常に多くの、さまざまな身体の変調がみられますが、
- イライラ感
- 不安
- 気分の落ち込み
- 意欲や集中力の低下
などの精神症状も現れ、うつ病に移行する女性も多いのです。
女性はホルモンバランスによって心や体調を左右されることがとても多いため、ホルモンバランスをコントロールすることによって、これらの精神症状の異常やうつ病を改善できる可能性があります。
更年期障害の症状は人によってまちまちで、全く感じない人もいますし、非常に重い症状に悩まされる人も多いのです。
多くの場合は、数年の経過で正常に戻るのですが、更年期障害の治療では、分泌が減少したエストロゲンの補充療法が最も有効です。
更年期を迎え、気分の落ち込み、集中力や意欲のなさ、が続くようであれば、婦人科や心療内科を受診してみることをお勧めします。
② 産後うつ病
このサイトでも、産後うつ病については多くの記事を書かせていただきましたのでお読みになっていただけたと思います。
マタニティーブルーといわれる、産後の気分の落ち込みは多くの産婦においてみられる症状で、数日から1週間程度で回復するものです。
マタニティーブルーは、妊娠中のホルモン濃度が分娩によって急激に変化することが原因で、いわば、生理的現象なのです。
しかし、、、
最近は、マタニティーブルーから、産後うつに移行する女性も多いのです。
その原因には、女性だけの問題ではなく、
- 男女の社会的役割の格差
が関与している可能性も高いのです。
かつては、
大家族で、
出産を経験した、母親が、祖母が、サポートしてくれましたが、
核家族化した現在では、
全てを、妊産婦が独りで背負わなければならない状況が増えています。
イクメン、などの言葉もできたように、夫の育児への参加も増えて入るものの、依然として、産婦の負担は多く、家事や育児の問題を独りで抱え込んで、うつ症状が加速してしまうことが多いのです。
- 独りで抱え込まない
- 完璧にやろうとしない
これが、産後うつ病を予防するために一番重要なことです。
産後うつ病についてはこのサイトでも多くの記事をアップしていますから
「産後うつ病」のカテゴリーをご覧下さいね。
③ 月経前症候群(PMS)
思春期から更年期まで、女性は毎月、生理を迎えます。
生理の前後では、女性ホルモンである卵胞ホルモンと、黄体ホルモンが大きく変化します。
この、女性の性ホルモンの周期的な変化、排卵後から月経終了までの期間、において
- 腰痛
- 下腹部痛
- むくみ
- だるさ
などの身体的な変調を感じる女性は多いのですが、
さらに、
- 憂鬱感
- イライラ
などの精神的な症状を感じる女性も少なくはないのです。
これは、
- 月経前不機嫌性障害(PMDD)
- 月経前緊張症(PMS)
といわれるものですが、
月経前不機嫌性障害(PMDD)は、
月経前緊張症(PMS)より、り精神的な症状が強く、強い抑うつ状態がうつ病へと移行することもあるのです。
詳しく見る ⇒ うつ病と生理前症候群(PMS,PMDD)との違い
いかがでしょうか。
女性の体は男性に比べて非常に複雑にできています。
それは、
- 子孫を残す
- 子供を産む
という、女性にしかできない仕事をするためなのです。
しかし、
そのことが原因で、うつ症状に陥ってしまうことも希ではないのです。
この3つのうつ病は、女性特有のうつ病なのです。
しかし、
女性特有の生理的なうつ病は、
ホルモンバランスが平常に戻れば解消するのですが、長く続くことによって、「うつ病」に移行してしまうことも多いのです。
うつ病を防ぐには、
頑張りすぎないこと
です。
女性特有の生理現象である、
- 更年期
- 出産
- 生理
の間に、
- 憂鬱感
- イライラ
などの精神的な異常が長く続くときには、
我慢せずに相談する
ことが大切なのです。
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