うつ病に良い3つの食べ物
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
うつ病には食事などの生活習慣も大きく関与しており、
うつ病は生活習慣病だともいわれています。
そんななかで注目されているのが精神栄養学です。
多くの精神疾患は間違った現代型の食事によって引き起こされているというのです。
精神栄養学の権威である国立精神神経医療研究センター病院の功刀浩医師はうつ病に良い食べ物の研究をしていますが、
あなたは、精神栄養学に基づくうつ病に良い3つの食べ物をご存じですか?
うつ病と精神栄養学
栄養素が身体の健康に深く関わっていることは言うまでもない常識です。
しかし最近、栄養素は身体の健康だけではなく、心の健康(精神の健康)にも大きく影響を及ぼしていることが分かってきました。
しかし、一般の医師はもちろん、精神科の医師においても、精神の健康における栄養素の重要性を認識している人は余り多くないのです。
うつ病の治療においても精神栄養学が注目を浴びており、食事とうつ病の関係や、うつ病と生活習慣病との相関関係も着目され、うつ病は生活習慣病の一つだとさえ言われているのです。
そんなことから、うつ病の治療における栄養学が見直され、薬物治療に加えて食生活の改善や生活習慣病対策を行うことによって、うつ症状の改善が見られるとの報告も多く見られるようになりました。
国内においては、うつ病などの精神疾患の治療においては食事や栄養学的な視点でのアプローチがほとんど行われてきませんでしたが、
国立精神•神経医療研究センターや国際医療研究センターでは精神疾患の栄養学的側面に着目した臨床研究が進められており、精神疾患と食生活や栄養摂取との関係が次第に明らかになっているのです。
うつと食事、栄養素の関係をみる研究は最近になって増えており、このサイトでもうつ病と食べ物(栄養素)については多くの情報を提供してきていますのでお読みくださっていると思います。
うつ病に良い3つの食べ物
国内で精神栄養学の研究の中心的な機関の一つである国立精神・神経医療研究センター病院の功刀浩氏は私たちにも分かりやすい精神栄養学の本を沢山執筆しておられます。
そんな、功刀氏が、うつ病リスクを下げる食品として3つの食べ物を挙げていますが、ご存じでしょうか?
① 緑茶
第1に挙げているのが、緑茶です。
東北地方の70歳以上の人を対象に調査した疫学研究では、
緑茶を1日4杯以上飲む人は1杯以下の人に比べて、うつ病のリスクが半分
だったという結果が得られています。
功刀氏らが行ったアンケート調査でも、うつ病患者は健康な人に比べて、緑茶を飲む量が少なかったそうです。
緑茶には、
- うまみ成分 : テアニン
- 渋み成分 : カテキン
が含まれているのですが、
テアニンは、
グルタミン酸からできるアミノ酸でリラックス効果のある成分であり、
さらに、
大脳皮質の神経細胞はグルタミン酸を神経伝達物質の材料にしているためテアニンの摂取で神経細胞の伝達が調整されるのではないかと考えられるのです。
カテキンには、
抗酸化作用で脳の神経細胞を守る作用が有り、
さらに、
うつ病との関連が示唆されている脂質異常や血糖値の上昇を防ぐ作用が直接間接的にうつ病に良い効果を与えているのではないかと考えられています。
高級品である玉露や抹茶などにはテアニンが多くふくまれていますが、カテキンは一般的な安価な緑茶に多く含まれています。
② 葉酸
功刀氏が、うつ病リスクを下げる食品として2番目に挙げているのは葉酸です。
葉酸は脳内の神経物質であるノルアドレナリンやセロトニンなどの合成に必要な栄養素の一つです。
海外の研究では、
- 抗うつ薬+葉酸
- 抗うつ薬のみ
の2群でうつ症状の改善効果を比較したところ、葉酸を摂取した方がよりうつ症状の改善効果があったと報告されています。
さらに、このサイトでもご紹介したように、
国立国際医療研究センター疫学・予防研究科の研究グループは、
男女530人(21~67歳)について、
血中の葉酸の濃度と抑うつとの関連を調べたところ、
男性における葉酸濃度が高い群は、低い群に比べて、抑うつ症状のある人が少ない
ことがわかっています。
詳しく見る ⇒ 葉酸はうつ病を予防する
研究グループでは、
葉酸摂取がうつ病にどれくらい効果があるのかまでは不明だが、うつ病の再発予防につながる可能性があると期待している
と述べています。
葉酸が多く含まれる食品は、
- レバー(鶏と牛)
- モロヘイヤ
- パセリ
- ほうれん草
- ブロッコリー
などですから、積極的に摂ってください。
③ 善玉菌
3つ目は、ヨーグルトなどに含まれる善玉菌です。
このサイトでも、
ということをご紹介しましたのでご存じの方も多いと思いますが、
乳酸菌は腸内のセロトニンを増やすということが明らかになっているのです。
腸は第2の脳とも言われ、脳と腸との関係が次第に明らかになりつつあるのですが、私達の体の中のセロトニンの98%は腸内にあり、脳で刺激伝達物質として働いているセロトニンは僅か2%なのですが、
最近の研究では腸内で善玉菌によって作られたセロトニンが脳でも重要な働きをしていることが分かってきたのです。
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うつ病に理想的な食事内容
功刀氏が挙げる、うつ病に良い食事(栄養素)は、
- 緑茶(カテキン、テアニン)
- 葉酸
- 善玉菌(乳酸菌)
なのですが、うつ病に良いとしてサプリメントなどで摂る必要はありません。
功刀氏がうつ病に効く“理想的な食事”として、
- 「緑茶」「納豆」(納豆以外にも、肉、魚、卵など蛋白質のおかず)
- 果物やシリアル、ハチミツなどを入れた「ヨーグルト」
- 野菜・きのこ・海藻たっぷりの具だくさん「味噌汁」
- ビタミン・ミネラル豊富な「玄米ご飯」
を薦めていますが、これは私達が古来から食べている伝統的な日本食の朝食です。
このサイトでも、うつ病には果物や野菜や日本食が良いことをお薦めしてきましたが、
こうした栄養素を朝食で十分に摂ることは、一日の活動のスイッチを入れ、うつ病の克服において最も重要な生活のリズムを整えることになるのです。
食べ過ぎは要注意
しかし、注意することは、食べ過ぎです。
多くの疫学調査で、
- 肥満や糖尿病はうつ病のリスクを上げる
- うつ病は肥満や糖尿病のリスクを上げる
という相関関係が明らかになっています。
ある精神疾患薬では食物の過剰摂取させる傾向があることが分かっており、服薬により過食になることもあるのですが、自分の食事量を考えて、気持ちの上ではもっと食べたいのでしょうが、自制することも必要です。
特に、うつ病では引きこもりがちになり、運動量が減ることから消費エネルギーが減少して通常のエネルギー摂取でも肥満傾向になってしまうのです。
気分が優れないときには服薬も重要です。
しかし、必要な栄養素をきちんと摂れば薬の効果も充分に発揮され、うつ症状の改善に効果があるのです。
ファストフードやスナック食品に偏らず、食生活や生活習慣を見直してみませんか?
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