高齢者のうつ病は治りにくい
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
うつ病にかかりやすいのは40歳代の女性だといわれていますが、
実は最近、
高齢者のうつ病患者が増えているのです。
うつ病患者数は、
男性では 40 歳代が最も多くそれ以降は減少しますが、
女性では 30~70 歳代にかけてうつ病患者数が非常に多く、
高齢者でも女性のうつ病患者は男性に比べて2倍も多いのです。
さらに、
- 高齢者のうつ病は治りにくい
- 高齢者のうつ病は認知症と間違われやすい
といわれるのですが、
高齢者のうつ病の実態を調べてみました。
高齢者でもうつ病が多い
国内のうつ病患者数は急増しており、
- 大うつ病の12ヵ月有病率はが2.2%
- 大うつ病の生涯有病率は6.5%
と高く、
- 軽症うつ病の12ヵ月有病率は0.8%
- 軽症うつ病の生涯有病率が2.7%
と報告されています。
もう少し具体的に表せば、
- 30人に1人が過去12ヵ月間にうつ病に罹患し
- 10~15人に1人が生涯にうつ病を経験する
計算になるのです。
年齢別のうつ病患者数
年齢別のうつ病の患者数は、
男性では40歳代をピークに減少する
のですが、
女性では60歳代70歳代でもうつ病の患者数が多いのです。
高齢者のうつ病の原因
うつ病の原因は一般的に、
- 仕事のストレス
- 人間関係のストレス
- 出産や育児
などが上げられていますが、
高齢者におけるうつ病の原因としては、
- 定年退職
- 配偶者の死亡
- 子供の結婚による別居
- ペットの死亡
- 病気が回復しない
などが上げられています。
特に、
家族との死別
は高齢者のうつ病の原因として最も多いといわれています。
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高齢者のうつ病は治りにくい?
高齢者のうつ病は寛解率が低いといわれています。
すなわち、高齢者のうつ病は治りにくいのです。
ノルウェーのInnlandet 病院の研究グループは、高齢者のうつ病患者を対象とした治療経過調査をおこない、
- 健康状態
- 認知症
などが高齢者のうつ病の治りにくさと関係があると報告しています。
The course of depression in late life as measured by the Montgomery and Asberg Depression Rating Scale in an observational study of hospitalized patients.
詳しく読む ⇒ コチラ
研究グループは、
うつ病患者145例について、治療経過を観察し、
- うつ病の改善が認められたのは74例(51.0%)
- 治療期間中、悲しみ、倦怠感が最も改善したが集中困難の改善度は低かった
- 認知症を併発した患者では治療率が低い
- 健康状態が不良の患者は改善度が低い
- うつ病エピソードの既往があると治療率が低い
が確認されたと報告しているのです。
研究グループは、
高齢者うつ病患者において健康状態の悪化や認知症の併発はうつ病の改善に大きく影響を与えることから、治療に際してはこれらの因子に十分注意を払うべきだと指摘しています。
高齢者のうつ病は認知症と間違われることが非常に多いのです。
このことについては改めて説明したいと思います。
高齢者のうつ病では、
- アートセラピー
- 音楽療法
などの集団療法が非常に効果的だといわれています。
音楽や絵画などの心地よい刺激は脳を活性化し回復力をつけるのです。
さらに、
人とのコミニュケーションもうつ病の回復にはを助けることが科学的にも立証されています。
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