今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
うつ病と腸内細菌とは関係がないと思うのですが、
国立精神・神経医療研究センターとヤクルトの研究所は、
「腸内の善玉菌が少ないとうつ病になる可能性が高い」との研究論文を発表ました。
うつ病患者では、ビフィズス菌や乳酸菌の量が非常に少ないというのです。
ヤクルトやカルピスには、C-23ガセリ菌はストレスや不眠を解消する作用があるのです。
腸内の善玉菌が少ないとうつ病リスクが高まる
国立精神・神経医療研究センターとヤクルトの研究グループは、2016年6月9日、
腸内の善玉菌が少ないとうつ病リスクが高い
ことを明らかにし、研究成果はオランダの科学誌「Journal of Affective Disorders」オンライン速報版に掲載されたと公表しました。
詳しく見る ⇒ ヤクルト本社プレスリリース 2016,6.9
Possible association of Bifidobacterium and Lactobacillus in the gut microbiota of patients with major depressive disorder
Journal of Affective Disorders September 15, 2016Volume 202, Pages 254–257
今回の研究では
- 大うつ病患者 : 43人
- 健常者 : 57名
を対象に、
被験者の便を採取して
- ビフィズスの菌量
- 乳酸桿菌(ラクトバチルス)の菌量
を測定し比較したのです。
この結果、
- 大うつ病患者では健常者よりビフィズス菌が有意に低下
- 大うつ病患者では健常者よりラクトバチルス菌が低下傾向
にあることが判明し、
ビフィズス菌や乳酸桿菌の善玉菌が少ないとうつ病のリスクが高い
ことが示唆されたのです。
さらに、
- 大うつ病患者で過敏性腸症候群を合併していたのは33%
- 健常者で過敏性腸症候群を合併していたのは12%
であり、
大うつ病群では過敏性腸症候群の合併が有意に多い
ということも判明したのです。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、主にストレスに起因して下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患でIBS(Irritable Bowel Syndrome)ともいわれます。
昔は、神経性下痢などともいわれたことがありますが、通勤や通学の途中で、あるいは、試験の前に、大事な会議の前に、などにおいて急におなかが痛くなりトイレに駆け込む、、、こんな症状が過敏性腸症候群です。
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ヤクルトなどの乳酸飲料はうつ病を予防する
私達の腸の中には数100 兆個もの腸内細菌がいるといわれています。
細菌が数100兆個といわれてもぴんときませんが、重さにすれば1~1.5kgにもなるもの凄い量なのです。
これらの腸内細菌の種類は100 種類以上もあり、私達が食事として摂取した食物から栄養素を摂って生きているのですが、
- ビタミンや蛋白質の合成
- 体外からの病原菌の侵入防止
など、さまざまな有益な働きをしているのです。
腸は第二の脳
腸内細菌は私達の生命維持に重要な働きをしているのですが、
腸内細菌は脳の機能にも影響を与える
ことが様々な研究で明らかになり、
腸内細菌はうつ病の発症原因の一つ
としても注目されています。
脳と腸との関係は、「脳腸相関」といわれ、
- 腸の調子がいいと脳もリラックスしてぐっすり眠れる
- 脳が緊張すると腸の調子がわるくなりお腹が痛くなる
など、ストレス社会である現代では脳腸相関は非常に重要性を増しています。
ヤクルトはうつ病に良い
うつ病の動物モデルを用いた実験では、うつ病様の行動の異常やストレス反応に腸内細菌が関与しているとの多くの研究報告があり、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌はストレスを和らげる可能性が示唆されています。
今回ご紹介したヤクルトの研究では、
善玉菌がどのようにして大うつ病の発症を抑制したかについては明らかにしていませんが、健常者におけるストレス症状を生きた善玉菌を含む食品であるプロバイオティクスが緩和したとも報告されています。
ヤクルトの研究グループは、
今回の結果について、乳酸菌飲料やヨーグルトなどのプロバイオティクス(善玉菌を含む食品)の摂取がうつ病の予防や治療に有効である可能性が考えられると説明していますが、善玉菌が脳腸相関により、ストレスを緩和し、うつ病を予防、治療したものと考えられます。
カルピスはうつ病に良い
乳酸飲料といえば、カルピスも日本を代表する乳酸飲料で、ヤクルトと同様に、善玉菌を多く含むプロバイオティクスです。
カルピスの研究所では、カルピスに含まれるC-23ガセリ菌は、乳酸菌のような腸内環境を整える働きに加え、腸から脳に働きかけることでストレスを緩和したり、ストレスによる様々な不調を改善する働きがあることを報告しています。
カルピスの乳酸菌であるC-23には、
- ストレスによる不安感を緩和
- 睡眠の質を改善
- ストレスにより生じる腹部症状を改善
する効果があるとの研究論文を発表しています。
腸内の善玉菌が少ないとうつ病になる可能性が高まります。
ヤクルトやカルピスなどの善玉菌を多く含む食品はうつ病の予防に効果があるそうです。
ヤクルトやカルピスの善玉菌には不安や不眠などを解消する作用があるからです。
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