うつ病では、
- 気持ちが落ち込む
- やる気がなくなる
- 何事にも興味が無くなる
など様々な症状が現れますが、
ED(勃起不全)や性欲減退もうつ病の主要な症状です。
うつ病によるEDの原因は気持ちの落ち込みなど精神的な理由やあるいは、治療薬によるものなどですが、
うつ病のEDは必ず治りますから安心してうつ病の治療に専念してください。
うつ病になるとEDになる人が多い
EDに悩む人は非常に多く、ある疫学調査によると40歳代では5人に1人、50歳代後半だと2人に1人がEDだと報告され、国内のED患者数は1,130万人以上だと推定されています。
うつ病になると、気持ちが落ち込む、やる気がなくなる、何事にも興味が無くなるなどの抑うつ状態になりますから、性的なものに対する関心も薄れEDに陥る人も非常に多いのです。
うつ病では、性機能に関する器質的(肉体的)機能には異常がないことが多いのですが、心の不調とともに、食事、睡眠、性行為といった人間の三大欲望ともいわれる基本的な欲望に対する興味に障害が起こり、結果、EDに陥ることが多いのです。
ED(erectile Dysfunction)とは、性交時に勃起しない、あるいは勃起状態を持続できないために性行為ができない状態を言います。
最近はEDが一般的になりましたが、日本では、勃起不全、勃起障害などと訳されますが、勃起しない、勃起できない場合だけでなく、勃起が維持できない、いわゆる中折れによって、満足な性行為が行えない状態も含まれます。
健常人でも、非常に疲れていたり、大きな心配事を抱えていたり、大きな失敗などによるストレスを感じていたりするときには、勃起しない、勃起が持続しない、、、というようなことも希ではありませんが、
自分の意思とは裏腹に、
- 性行為に臨むだけの勃起が得られない
- 勃起しても射精に至る前に萎えてしまう
というような状態が3ヵ月以上続く場合にはEDと診断されます。
うつ病におけるEDの原因
EDには、原因によって、
- 器質的ED : 何らかの身体的な不具合によるED
- 心因性ED : 精神的な原因によるED
- 混合型ED : 器質的ED+心因性ED
- 薬剤性ED : 薬物によるED
の4種類があります
器質的EDは、
外傷や手術などによる血管や神経の損傷、前立腺肥大などによる疾患、糖尿病や肥満などの生活習慣病などによる、主に血管や神経、そして男性器に何らかの障害があることによって勃起しないEDです。
心因性EDは、
身体的には何ら異常がないにもかかわらず、ストレス、心配事などの精神的不調などで勃起しなかったり、勃起しても挿入するだけの硬度がない、勃起しても途中で萎えてしまう、、などのような勃起不全です。
混合性EDは、
器質性EDと心因性EDの両者が原因になっている場合です。
薬剤性EDは、
服用している医薬品の影響によるEDです。
心因性EDは2つに分けられる
うつ病におけるEDの原因は心因性であることが多いので、心因性EDについてもう少し詳しく見てみましょうか。
心因性EDには更に2つのタイプがあります。
- 現実心因
- 深層心因
現実心因とは、
現実的な、ストレスやプレシャー、心労などによって引き起こされるEDです。例えば、性交中にパートナーから「小さいのね、、」とか「早くしてよ、、」などと何気ない言葉によって途中で萎えたり、そのことが頭に残り、次回から勃起しなくなったりするような場合です。
さらに、仕事で大きな失敗をして上司に叱咤されたり、明朝のプレゼンテーションや会議が気になったり、あるいは、金銭的的な心配事があったりしても勃起に至らないことがあります。
性交中には、現実心因に分また、妊活中ではパートナーの排卵日近くなって性交を求められるとプレッシャーから勃起できなくなってしまうこともあります。
深層心因とは、
具体的な心労やストレスなどが見いだせない場合がこれに相当します。幼児体験や性的なトラウマなど、現在ではなく過去の出来事が心の深層に残り勃起を妨げている場合です。
自分でも思い当たることがなく、気付いていないことが多いので、原因究明に至るまでに長時間を要し、治療も難しいEDです。
以前は勃起していたが、急に勃起できなくなったというようなEDは恐らくは深層心因ではありません。深層心因EDは、1回も性交をしたことがない、1回も勃起したことがないというようなことが多いので、例外的と考えて良いでしょう。
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うつ病のEDは心因性と薬剤性ED
うつ病では、
- 何事にも意欲がなくなる、、
- 何事もやる気がなくなる、、、
- 何事にも興味が無くなる、、、
など、抑うつ的な気分になり、当然、性的なものにも関心がなくなり、性欲減退にもつながります。
うつ病におけるEDは、多くの場合心因性EDだといわれています。
しかし、うつ病患者では糖尿病になる人が多く、糖尿病患者で血管性のEDになる場合が多いことが分かっており、糖尿病を併発する場合には器質性EDである可能性もあります。
さらに、
人も多くいのです。
うつ病の治療薬が原因でEDになっている場合には薬剤性EDの可能性もあります。
うつ病の薬物治療では、
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 抗精神病薬
- 睡眠薬
など様々な薬剤が処方されます。
その中で、最も良く処方される抗うつ薬は SSRI薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といわれるものです。
SSRIは脳内のセロトニンを増加させる薬剤ですが、性的衝動に関与しているドーパミンを抑制する作用があるため、性欲減退やED症状を引き起こす可能性があるのです。
また、SSRIは早漏の治療で射精を遅らせる目的で処方される場合もあり、SSRIを服用していると勃起しても射精までに至らないことがあるといわれています。
うつ病におけるEDの治療
このように、うつ病におけるEDは主に心因性EDですので、治療では心理療法と薬物療法がとられます。
心理療法では、専門家のカウンセリングを受けて、アドバイスをもらいながら精神的な負担を取り除いていきますが、時間をかけてゆっくり行うことが基本で、定期的に通院し、場合によってはパートナーにも同席して貰うことが回復の大きな進歩になることもあるのです。
また、心理的EDに対する治療を行わなくても、うつ症状の回復に伴って自然に回復するので心配はありません。
先日、うつ病の残遺症状についてお話ししましたが、うつ病が回復すればEDはほぼ完全に回復するようです。
うつ病症状が長く続くようなときにはED治療薬も有効です。
うつ病による心因性EDではバイアグラなどのPDE5阻害薬が効果的です。
うつ病では、性的な刺激を受けても充分に脳が十分に関知しないことから、脳からの性的刺激が陰茎に伝達されず、陰茎の海綿体動脈が充分に拡張しないために勃起しないのですが、バイアグラなどのPDE5 阻害薬はうつ病患者においても、陰茎海綿体を拡張させますので陰茎海綿体の血流が増加し勃起させることができるのです。
EDになるとうつ病になるリスクが高くなる
しかし、1つ確認しておきたいのですが、
貴方はうつ病になる前からEDでしたか?
というのは、 EDになるとうつ病になるリスクが高くなる ということが分かっているのです。
すなわち、
うつ病 ⇒ ED
ではなく、
ED ⇒ うつ病
になる人が多く、
- ED患者はEDではない人に比べうつ病の発症率が2.24倍高い
- EDと診断された1年目にうつ病の発症率が最も高い
ということが報告されています。
詳しく見る ⇒ EDになるとうつ病になるリスクが高くなる
うつ病ではEDを伴うことは希ではありませんが、性機能に問題があるのではなく心因的なEDです。
うつ病が治ればEDも回復しますから心配する必要はありません。
EDのことは心配せずに、まずはうつ病の治療に専念してください。
また、必要であれば主治医に相談してバイアグラを処方してもらったらいかがでしょうか。
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