クルミはうつ病に良い成分が多い
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
うつ病に良いとされる食べ物はいろいろあります。
このサイトでは、できるだけ薬に頼らず、うつ病を克服する方法を紹介しています。
トリプトファンというアミノ酸がたくさん含まれクルミはうつ病に良い食べ物の1つです。
クルミがどうしてうつ病に良いのか、科学的根拠を調べてみました。
クルミに健康に良い食べ物
少し前の話になりますが、2014年4月22日に、「たけしのみんなの家庭の医学」で、「クルミ」が取り上げられました。
この時に放映されたクルミの健康効果は、
- 動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールが16%減少
- 動脈硬化の基準値が3.6から5.9に改善(正常値は6)
などという内容だったのですが、
放送後には、、、
スパーのおつまみコーナーから消え、コンビニやドラッグストアーでも品切れ、さらには、ネット通販でも完売状態で、「1か月分の注文が1日で舞い込んでだ」と凄い反響でした。
クルミは体に良い食べ物で、科学的根拠もしっかりしており、上記の動脈硬化以外にも、
- アンチエイジングや美髪・美肌効果
- 高血圧の予防や改善
- 心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞の予防や改善
- 糖尿病の予防
- 発がんのリスク低減
- 疲労回復
- 不眠改善
- 便秘解消
- うつ病の予防や改善
- 骨粗しょう症予防
- 精子の質が向上
など、数多くの健康効果があるといわれています。
クルミはうつ病の予防や改善にも効果があるのです。
クルミにはうつ病に良い成分が含まれる
うつ病にはクルミがクルミが効果があるといわれています。
ネットで「うつ病+クルミ」で検索すると、56,600件ものヒットがあり、多くの人がうつ病に対するクルミの効果に興味を持っていることが分かります。
クルミにはうつ病に良いトリプトファンが含まれる
うつ病にはクルミが良いと言われる第1の理由には、「クルミにはトリプトファンが多く含まれる」という理由からです。
トリプトファンは、必須アミノ酸の一つで、私達の体内では作ることが出来ないアミノ酸え、食品から摂取する必要があるアミノ酸です。
トリプトファンは、豚肉や鶏肉などにも含まれていますが、クルミにも多くのトリプトファンが含まれています。
トリプトファンは神経伝達物質であるセロトニンの原料で、さらに、セロトニンは睡眠に関与するメラトニンの分泌を促します。
クルミのトリプトファン含量は、豚肉や鶏肉、まぐろなどに比べると多くはないのですが、クルミに含まれているトリプトファンは肉類などに含まれるトリプトファンに比べて脳に届きやすいといわれています。
食品から取り込まれたトリプトファンは、バリン、ロイシン、イソロイシンなどのアミノ酸と同じ輸送体によって脳内に運ばれますが、脳内に入るためには血液脳関門というところを通過する必要があり、バリン、ロイシン、イソロイシンなどのアミノ酸と一緒だとトリプトファンの脳内移行が低下してしまうのです。
その点、クルミには、肉や魚に比べてバリン、ロイシン、イソロイシンなどの含量が少なく、トリプトファンが効率よく脳内に運ばれ、セロトニンを作ることが出来るのです。
うつ病では脳内のセロトニンの減少が一つの原因だといわれており、クルミのトリプトファンはセロトニンの不足を補うことができるのです。
さらに、上にも書きましたように、セロトニンは脳内の松果体という場所でメラトニンというホルモンに変わります。
メラトニンは体内のリズムや睡眠に関わるホルモンですが、その他にもアンチエイジング効果や免疫力の強化、抗酸化作用によるがんや心臓病に対する効果も話題になっています。
クルミにはうつ病に良いオメガ3脂肪酸が含まれる
くるみにはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
脂肪酸は、中性脂肪を構成する原料となる成分で、
- 飽和脂肪酸
- 不飽和脂肪酸
に分類されますが、私達の体内では不飽和脂肪酸を作ることが出来ないため、食品から摂る必要があります。
不飽和脂肪酸はさらに、n-3系とn-6系に分けられ、
- n-3系 : 動脈硬化を防ぎ、心臓病、脳卒中、糖尿病、肥満、高血圧、がんなどの生活習慣病の予防効果
- n-6系 : 肥満や生活習慣病のリスクを高める中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす作用
などの健康効果があることが、多くの科学的論文で報告されています。
さらに、うつ病ではオメガ3系脂肪酸が不足していることが原因だとも言われています。
オメガ3系脂肪酸を補うには、青魚などよりはクルミが効果的なのです。
クルミにはうつ病に良い抗酸化作用物質が多い
意外なことなのですが、クルミは抗酸化物質が多く含まれます。
抗酸化作用というと、ポリフェノールを思い浮かべ、ポリフェノールが多いのは赤ワインだとお思いでしょうが、クルミには抗酸化物質が多く含まれるのです。
アメリカのスクラントン大学のジョー・ヴィンソン教授らの研究によれば、ひと握り(約28g)のクルミに含まれるポリフェノールの量は赤ワイン1杯に含まれるポリフェノールの量を上回るのです。
抗酸化作用は体内の活性酸素を除去する作用です。
呼吸で取り入れた酸素の2%が活性酸素になりますがストレスや睡眠不足で体内の活性酸素が増加します。
活性酸素は、老化やがんなどの種々の病気の原因になるのですが、最近の研究では、活性酸素はうつ病や精神疾患の発症にも関与していることが分かってきました。
うつ病では脳内のセロトニンが不足することが原因の一つですが、最近の研究によれば、強いストレスに脳内の扁桃体が過剰に反応することによって活性酸素の一つであるヒドロキシルラジカルが大量に発生し、脳細胞を萎縮させるのではないかといわれています。
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うつ病とトリプトファンの関係
うつ病の原因の1つには、脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンが減少するためだと考えられています。
セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは、体内で特に重要な役割を果たしており、三大神経伝達物質といわれていますが、セロトニンとノルアドレナリンとドパミンは拮抗した作用を示し、セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンによる興奮を抑えて精神の安定を図る作用のあるのです。
セロトニンが不足すると精神の安定が崩れ、うつ病などの精神疾患を発症するのではないかというのが、現在のうつ病の発症に関して最も信頼性がある「セロトニン仮説」ですといわれるものです。
- 朝起きるのが辛い
- 熟睡できない
- 疲れる
- 1日中ダルイ
- イライラする
これらの症状がある場合には、セロトニン不足かもしれないのです。
抗うつ薬はセロトニン不足を改善する薬
従って、うつ病の薬物療法では、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質に働きかける薬を処方します。
上の図にも示しましたが、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、日常生活のやる気や幸福感などに関係していると考えられ、これら神経伝達物質が不足すると、やる気が出なくなったり、悲壮感にとらわれたりしてしまうのです。
セロトニンやノルアドレナリンに働きかける抗うつ薬には、SSRI、SNRIという薬を処方するのが主流です。
- SSRI : 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
- SNRI : セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
SSRI、SNRIは、国内では1999年に認可され、それ以前は三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬が使われていましたが、これらより副作用が少ないSSRI、SNRIが使われています。
うつ病に苦しんでいるほとんどの方がセロトニンの不足を補う作用のあるSSRI、SNRIを服用しています。
クルミには、セロトニンを増やすトリプトファンがたくさん含まれています。
さらに、クルミには、オメガ3や抗酸化物質も多量に含まれています。
小腹の空いたときに、クルミをつまんでみませんか?
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