産後うつは産後1年でも発症することが分かった

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

産後うつ病は、産後うつ病で自殺する産婦が多いことから社会問題にもなっていますが、

新型コロナの流行で産後うつ病が倍増しているのです。

 

産後うつは出産後の母親が陥りやすいうつ病で、出産後の母親の10人に1人が罹患し、産後うつは産後2週までが要注意といわれているのですが、

 

最近の調査で、

産後うつが出産から1年後も発症する例がある

ことが分かりました。

 

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産後うつ病は出産後1年でも発症する例が多い

産婦の10~20%が罹患すると言われる産後うつですが、

通常は産後うつは産後2週までが要注意といわれているのですが、

 

最近の東北大学の研究グループの調査で、

出産後1年を経過しても産後うつ病を発症する

ことが明らかになりました。

 

詳しく見る ⇒ 東北大学プレスリリース
研究グループは、

2013年7月より2017年3月までに、

調査した22,493名の妊婦で有効回答が得られた 11,668名について、

産後 1 年までのうつ症状の有病率とうつ症状の経過、

について分析したのです。

 

その結果、

 

  1. 産後1年のうつ症状の有病率は産後1か月と同じだった
  2. 産後1年にうつ症状を呈していた者の約半数は産後1か月目ではうつ症状はなかった
  3. 妊娠中の心理的不調が産後1か月目、1年目のうつ症状と関連していた

ということが分かったというのです。

 


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具体的には、

  • 産後 1ヵ月目 : 13.9%がうつ症状
  • 産後 1年目  : 12.9%がうつ症状
  • 産後 1 年目でうつ症状があった母親の約半数は産後1ヵ月目ではうつ症状はなかった

ということなのです。

 

産後1ヵ月と1年のうつ症状の経過から 4タイプに分けられ、

  1. 持続群 :  6.0%
  2. 回復群 :  7.9%
  3. 遅発群 :  6.8%
  4. 正常群 :  79.2%
持続群 回復群 遅発群 正常群
1ヵ月 × ×
1    年 × ×
6.0% 6.8% 7.9% 78.2%

〇;うつ症状有り、×:うつ症状なし

 

 

一般的に、産後3日以内に、

  • 悲しさ
  • 惨めさ

などの感情が現われますがほぼ2週間以内に治まり、

この状態はマタニティーブルーと呼ばれる状態なのです。

 

しかし、顕著な抑うつ症状が数週間から数ヵ月間も続き、日常生活に支障が出るようになれば「産後うつ病」と診断されます。

 

研究グループは、

産後 1 年を経過してもうつ症状が出現することが明らかになったとして、

産後直後だけでなくより長期的な視点でスクリーニングやケアの体制を構築する必要があるとしています。

 


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まとめ

産後うつ病は出産した母親の10~20%で見られ、通常は出産後2週間程度で発症するのですが、

出産後1年でも、出産後1ヵ月目と同じ率で発症することが分かりました。

さらに、産後うつ病には妊娠中の心理的不調と関連していることも明らかになりました。

 

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