きのこを食べる人ではうつ病の発症率が低いことが分かった
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
科学的根拠のあるうつ病に良い食べ物として、
などをご紹介しました。
アメリカの研究グループは、
きのこを食べる人ではうつ病の発症が少ない
という研究論文を発表しました。
どうしてきのこを食べる人ではうつ病の発症が少ないのでしょうか?
きのこを食べる人はうつ病の発症が少ない
「きのこを食べる人ではうつ病の発症が少ない」
という研究論文を発表したのはアメリカのンシルベニア州立大学の研究グループです。
きのこには、
- 抗酸化物質
- 抗炎症物質
- 神経成長因子
など栄養素以外にも精神疾患に有効な成分が多いことから「きのこ摂取とうつ病の発症」に関する大規模な疫学調査をおこない、
「きのこを食べる人ではうつ病の発症が少ない」
ということを見出したのです。
Mushroom intake and depression: A population-based study using data from the US National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES), 2005–2016
Conclusion
Mushroom consumers had a lower odd of depression. However, we did not observe a dose-response relationship.
詳しく見る ⇒ Journal of Affective Disorders
研究グループは、
- 全米健康栄養調査への参加者について、
- 24,699人の(平均年齢45.5歳)を対象に、
- きのこの摂取量とうつ病の有病率を、
調べたのです。
この結果、
- 24,699人の5.9%がうつ病でしたが、
- きのこをよく食べている人ではうつ病が半減した
ことが分かったのです。
研究グループは、
- きのこをよく食べる人はあまり食べない人よりうつ病の発症率が50%半減
- きのこをたくさん食べても効果が高くなることはなく一定量を日常的に食べることが良い
- きのこに含まれるエルゴチオネインがうつ病の予防に良い
と結論しています。
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うつ病に良いのはきのこのエルゴチオネイン
きのこに含まれるエルゴチオネインがうつ病予防に良い
ということですが、エルゴチオネインとは何なんでしょうか?
エルゴチオネインというのは、
- きのこが生成する
- 強い抗酸化作用を持つアミノ酸
なのです。
抗酸化作用というのは体内で発生した活性酸素を除去する働きのことです。
活性酸素が、
- ストレス
- 加齢
- 紫外線
- 喫煙
- 排気ガス
などによって体内で過剰に発生すると、
細胞にダメージを与え、老化、疲労、生活習慣病を引き起こす原因になるのです。
エルゴチオネインをたくさん含んでいるきのこ
人間の体はエルゴチオネインは作ることが出来ないので、食事を通して摂取する必要があるのですが、
きのこ類にたくさん含まれているのですが、
一般的なきのこでは、
- ヒラタケ
- エリンギ
- 舞茸
- シイタケ
などに含まれています。
コプリーノ(ササクレヒトヨタケ)というきのこにはたくさんエルゴチオネインが含まれて、
欧米諸国では高級食材としてパスタやサラダに使われていますが、国内ではほとんど市場に流通していません。
上に紹介した研究でも、きのこを大量に食べてもうつ病の発生がより低下するわけではありません。
大量に食べても全てのエルゴチオネインが吸収されないからです。
エルゴチオネインは体内に長期間蓄積しますから、
日常的に少しずつ食べて常に十分な量を体内に蓄えることが効果的なのです。
エルゴチオネインは熱や酸に強いため調理法として、
- 炒め物
- 蒸し物
- 汁物
などすべてOKですが、
水に溶けやすい性質ですから茹でて食べるときには茹で汁もスープとして活用してください。
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まとめ
きのこに含まれている成分が、がん患者の抑うつ症状や不安の軽減に効果があることは既に発表されていますが、
今回の論文ではきのこを日常的に食べている人ではうつ病の発症率が低いことが明らかになったのです。