新型コロナ感染の影響で妊婦の3人に1人がうつ病か
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
最近、妊娠中にうつ病になる妊婦が多く、
近直の10年間に東京23区で自殺で死亡した妊産婦は63名にも上り大きな問題になっているのですが、
先日のNHKテレビで、
近畿大学の研究グループが、
新型コロナ感染の影響で妊婦の3人に1人がうつ病の疑い
であることが分かったと放送しました。
産後うつ病での自殺する産婦が多いことなど、
妊産婦でのうつ病が大きな問題になっているのです。
新型コロナの影響で妊婦の3人に1人がうつ病の疑い
近畿大学の東洋医学研究所の研究グループは、
新型コロナ感染拡大の影響で、
妊婦が深刻な心理的苦痛を感じており3人に1人がうつ病の疑い
であることが分かったとして科学雑誌International journal of women’s healthに掲載されました。
Association between serious psychological distress and loneliness during the COVID-19 pandemic: A cross-sectional study with pregnant Japanese women
COVID-19パンデミック時の深刻な心理的苦痛と孤独感の関連:日本の妊娠女性を対象とした横断的研究
詳しく見る ⇒ 原著論文
この研究は、オール近大・新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクトの一環としておこなわれたもので、
- 2021年6月~7月に、
- 全国の妊婦1,022人を対象に
- 新型コロナ感染による心理的苦痛と孤独感の関連
についてWebで調査をおこなったのです。
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その結果、
2020年10月の調査に比べて、
心理的苦痛を感じている妊婦の割合が約3倍に増加し、
妊婦の3人に1人がうつ病や不安障害の疑い
であることが分かったというのです。
具体的には、
2021年6月~7月に、
妊娠女性1,022人を対象に、
新型コロナ感染による心理的苦痛と孤独感に着いて調査したところ、
- 385人(37.7%)がSPD症状を示す
- 東日本大震災直後や2020年10月の調査結果より増悪した
- SPDのリスク因子として新型コロナ感染症への恐怖感や孤独感があげられる
ということが明らかになったというのです。
SPDとはSerious Psychological Distressの略で、日本語では心理的苦痛といわれます。
東日本大震災直後に横浜市立大学などが同様の調査を行っていますが、その時はうつ病などの疑がある妊婦は13.2%でしたが、今回はそれの時に比べて3倍に増加していたことが明らかになったのです。
研究グループは、
妊娠中の心理的苦痛は本人だけではなくお腹の胎児にも影響を及ぼすので、行政や医療者は積極的に介入して改善する必要があると述べています。
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まとめ
産後うつ病での自殺する産婦が多いや産後うつは産後2週までが要注意など、妊産婦の精神状態はホルモンの影響なども有り非常に不安定な状態にあるのです。
新型コロナウイルス感染の拡大では「3密を避ける」ため、
- 外出の制限
- マスク着用で会話を避ける
ということで孤独感が募り、
- コロナに感染したら赤ちゃんは、、
と感染への恐怖感も増すのです。
通常の時でも妊産婦の10%程度がうつ病を併発するのですが、
妊娠中や産後のうつを予防するためには、
- 自分独りで抱え込まない
- 頑張りすぎない
ことが大事だと言われています。
コロナ渦では医師や友人に相談をする機会も制限されるでしょうが「自分独りで抱え込まない」や「頑張りすぎない」を頭に置いてください。