うつ病治療では抗うつ薬よりTMSが効果があるのか?
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
国内のうつ病治療では直ぐに抗うつ薬の投与になります。
しかし、
海外では既に、薬に頼らないうつ病治療法としてTMS療法がうつ病の標準治療法として行われています。
国内でもうつ病のrTMS磁気刺激療法が薬事承認されたのですが未だとても一般的とはいえない状態です。
薬に頼らないうつ病治療法としてTMS療法とはどんな治療法なのでしょうか?
海外のうつ病治療ではTMS療法がスタンダード
欧米では薬に頼らないうつ病治療法としてTMS療法がスタンダードなうつ病治療法となっています。
TMS療法は副作用が少ないことが特徴なのですが、どんな治療法なのでしょうか?
TMS療法とは「うつ病の新しい治療法TMSとは」でもご説明したように、
TMSとはTranscranial Magnetic Stimulationの略で、日本語では経頭蓋磁気刺激のことです。
具体的には、非侵襲的に大脳皮質を電気(磁気)刺激することで脳活動を変化させる療法です。
非侵襲的というのは手術とかはなしに頭皮の上から電気刺激するということです。
磁気と電気は異なり、磁石が発生するのが磁気で、TMS療法では電気によって発生させた磁気を使います。
磁気治療は脳卒中後の上肢麻痺の治療医療などにおいて広く使われており、実は、ピップエレキバンも磁気治療の一つなのです。
磁気で脳を刺激する?
- 怖い!
- 痛そう!
と思われそうですが、痛さは瞬間的で、指でデコピンされたときのような痛みだそうです。
TMS療法では具体的には、
- 1日に40分程度の磁気刺激をおこなう
- 急性期うつでは週に5日の治療を4~6週間実施し
- 以後は徐々に週3~2日と回数を減らす
という治療を行うのです。
国内でもTMS療法が保険適用
欧米の先進国では数十年前からうつ病治療の標準治療として保険適用でTMS療法が行われ画期的な成果を上げています。
日本は平成31年に難治性うつ病の治療法として保険適用になりましたが、
2019年にうつ病のrTMS磁気刺激療法が薬事承認された
抗うつ薬コントロールが難しいうつ病患者において保険適用されたのです。
対象となるうつ病患者は、
- 成人(18歳以上)であること
- 抗うつ薬1剤以上で十分な効果が認められないうつ病患者
- 抗うつ薬の副作用で十分な薬物療法が行えないうつ病患者
- うつ病を繰り返し発症しているうつ病患者
という条件です。
なお、
- 頭部に磁石に反応する金属があるうつ病患者
- ペースメーカーを使用中のうつ病患者
はTMS療法を受けることができません。
さらに、
- てんかんの発作があるうつ病患者
- 妊娠中のうつ病患者
についてもTMS療法を受けることができない可能性があります。
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日本でTMS療法を受ける方法
国内でもうつ病患者が保険適用でTMS療法を受けられるようになったのですが、
日本でTMS療法は何処で受けることができるのでしょうか??
現在、うつ病でTMS療法を受けるには4つの方法があります。
- 保険医療でのTMS療法
- 先進医療BでのTMS療法
- 臨床研究でのTMS療法
- 自由診療でのTMS療法
保健医療でのTMS療法
TMS療法の設備がある医療機関では保険診療でTMS療法を受けることができます。
保険適用ですから自己負担額は3割負担で、
1セッションあたり3,600円となり、総医療費はセッション回数、治療期間などによって自己負担の総計は異なります。
先進医療BでのTMS療法
これは双極性障害患者が対象になり、国立精神神経医療研究センターなど限定された医療機関で実施されています。
検証的な臨床試験ですから自己負担額はゼロですが、効果検証であるため偽刺激グループに割り当てられる可能性もあります。
臨床研究でのTMS療法
大学病院などの医療機関でおこなわれている臨床研究に参加することになります。
先進医療Bと同じように自己負担額はありませんが偽刺激グループに割り当てられることもあります。
自由診療でのTMS療法
TMS療法ができる医療機関、例えば東京TMSクリニックなどで保険適用なしでの自由診療でTMS療法を受ける方法です。
自由診療ですから全額自己負担になりますが、費用は医療機関によって様々ですが、高額な場合が多いようです。
保険診療でのTMS療法では多くの場合は入院治療で、2~3ヵ月を要しますが、東京TMSクリニックのように通院でTMS療法を短期集中治療で受けられる医療機関もあります。
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まとめ
TMS療法は大脳皮質に電磁刺激を与えて脳のネットワークを集中力のネットワークのバランスを正常に戻す治療です。
副作用がほとんどなく、抗うつ薬で改善がない場合にも効果があることなどから欧米ではうつ病治療のスタンダード治療法になっています。
国内でも保険適応になりましたが全てのうつ病患者に適用されるわけではありませんが、
自由診療でTMS療法を行っている医療機関も増えており、
うつ病が長期にわたっている場合や、抗うつ薬の副作用が強い場合には試みてみる価値はありそうです。