男性でも周産期うつの産後うつが急増している
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
周産期うつとは、産前産後にみられるうつ病です。
かつては産褥期うつ病、産後うつ病と呼ばれていたのですが、
産後だけでなく産前の妊娠中にもみられることから、
出産前後に発症するうつ病と言う意味で周産期うつ病と呼ばれるようになりました。
出産後には急激に女性ホルモンが低下することや、育児などのストレスが増加することから、
出産後の半年間にはうつ病のリスクが高く、
妊婦の15%程度で産後うつ病が見られると言われています。
しかし最近では、
男性の産後うつ病が増えているのです。
男性で産後うつ病が増えて産後3ヵ月には13%に達す
産後うつとは出産を終えた女性が罹患すると思われがちですが、
最近は男性で産後うつ病に陥る人が増えているのです。
獨協医科大学の徳満 敬大教授らのグループは、
日本人男性の周産期うつ病の有病率は平均10%で、
産後3~6ヵ月には13%にも達した
と報告しています。
日本人男性における周産期うつ病の有病率:メタアナリシス。
Prevalence of perinatal depression among Japanese men: a meta-analysis.
くわしく読む ⇒ Annals of general psychiatry
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研究グループは、
1994年~2018年における日本人男性の出産前または産後うつ病の有病率に関する研究論文を検索し、日本人男性の周産期うつ病の期間や有病率を解析したのです。
その結果、
男性における出産前または産後うつ病の有病率は、
出産前 : 8.5%
産後1ヵ月以内 : 9.7%
産後1~3ヵ月 : 8.6%
産後3~6ヵ月 : 13.2%
産後6~12ヵ月 : 8.2%
となり、
日本人男性の周産期うつ病は、
- 有病率は全体として約10%
- 産後3~6ヵ月がピークで13.2%
であったと報告しています。
なお、
出産前うつ病は男性より女性の方が有意に高かったが、
産後うつ病では男女間に有意な差が認められなかった そうです。
研究グループは、
今回の結果は日本だけでなく、国際的なメタ解析の結果と類似しており、
産後うつ病は女性だけでなく男性においても高いことが明らかとなった。
特に、男性の周産期うつ病では出産前よりも産後に注意を払う必要がある。
とコメントしています。
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まとめ
産後うつ病での自殺する産婦が多いことから社会問題にもなっているのですが、
最近では、新型コロナの流行で産後うつ病が倍増していることからさらに注意が必要です。
最近の産後うつが急増している背景には核家族化が影響していると言われています。
かつては親子孫の三代が同居していることなどは珍しくなかったのですが、
最近では夫婦二人が普通になっています。
産後うつは産後2週までが要注意だと言われていますが、
産後うつの対策は夫婦で協力して助け合うことが重要なのです。