ご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
米軍バイラー大学の研究グループは、
ビタミンD不足ではうつ病のリスクが高い
という研究論文を発表しました。
ビタミンDは骨や歯を丈夫にするだけでなく、
ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを改善する働きもあるのです。
これから日照時間が短くなり、冬うつと言われる冬期のうつ病が増えてきます。
以前、太陽に当たって冬うつ病を解消しようにも書きましたが、
を読んでくださったでしょうか?
太陽に当たると皮膚でビタミンDが作られるのです。
ビタミンD不足は骨折や骨粗鬆症などの骨の障害だけでなく、
精神活動にも必要不可欠な栄養素なのです。
ビタミンD不足はうつ病の原因
高齢者を対象として調査で、
血清ビタミンD濃度とうつ病には関連性が高いという多くの研究がみれれるのですが、
米軍バイラー大学栄養プログラムお研究グループは、
ビタミンD不足がうつ病のリスクを高めることを明らかにしました。
ビタミンD不足がうつ病の発症が5倍も高かった
というのです。
The relationship between vitamin D status and depression in a tactical athlete population
Conclusion
These results suggest that service members stationed at installations located at northerly latitudes may be at increased risk for vitamin D deficiency. Furthermore, vitamin D deficient service members may be at higher risk for diagnosis of depression. As a number of military service members avoid reporting symptoms or seeking treatment, vitamin D status may be a useful screening tool to identify service members at risk for depression.
詳しく見る ⇒ 原著論文
研究グループは、
Military Health System(米国軍人の医療システム)に登録された患者データを利用し、
緯度による紫外線量の影響を統一するため、アラスカ、ニューヨーク、ワシントン、ノースカロライナとテキサスにおける病院の、
外来患者を対象として、
- 現役軍人(80.8%)
- 男性(86.2%)
について、
うつ病と血中ビタミンDとの関係を解析したのです。
対象患者の4.37%がうつ病でビタミンD欠乏症が1%未満でしたが、
ビタミンD不足でない患者のうつ病の有病率は4.2%でしたが、
ビタミンD不足の患者のうつ病の有病率は20.4%であり、
ビタミンD不足とうつ病いは有意な相関があったのです。
研究グループは、
血清ビタミンDの測定は軍隊だけに限らずうつ病のスクリーニングに有用である可能性がある
と述べています。
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ビタミンDは脳のストレスを守る
ではどうして「ビタミンD不足」がうつ病の原因になるのでしょう。
最近の研究で、
ビタミンDには、
- 脳を酸化ストレスから保護する
- 神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリンなど)の働きを改善する
という重要な働きがあることが分かってきたのです。
ビタミンDは脳内神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの合成や放出などに関与し精神活動に影響を及ぼしていると考えられるのです。
海外の研究では、
ビタミンDはうつ病改善に有効である
ことも分かってきました。
大うつ病患者にビタミンDを8週間投与したところうつ症状が軽減したのです。
さらに、
抗うつ薬とビタミンDを併用したところビタミンDの併用は抗うつ薬単独よりもうつ症状が改善したというのです。
ビタミンDは日光浴でも補える
ビタミンDは油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、
ビタミンDが多く含まれる食べ物は、
- 牛乳
- ヨーグルト
- マグロ(メカジキ)
- 鮭(サーモン)
- 鰯(サーディーン)
- きのこ(椎茸、マッシュルーム、まいたけ)
- レバー(牛)
などの多く含まれます。
ビタミンDは食物から摂る以外にも、紫外線を浴びることで体内で合成されます。
ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD3が紫外線に当たるプレビタミン D3に変わり、ビタミンDが生成されるのです。
食べ物によって取り込まれたビタミンDや紫外線によって作られたビタミンDは、
肝臓と腎臓において活性型ビタミンDに変わり、
- 正常な骨格と歯の発育促進する
- 筋肉の収縮などを正常に行う
- 神経伝達を円滑におこなわせる
などの生理作用を発揮するのです。
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まとめ
ビタミンD不足はくる病といって骨や歯がもろくなるのですが、
ビタミンDは神経伝達を正常におこなうように働いていることから、
ビタミンD不足はうつ病のリスクを高めるのです。
フィンランドなどの北欧諸国では冬季うつ病といって冬の間にうつ病が多発するのですが、
その大きな冬にうつ病が多いのは日照時間が短いからだということが明らかになっていますが、
日照不足によるビタミンD不足が原因なのです。
以前にも書きましたが、
を実行してみませんか?