今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
週刊現代の6月8日号をご覧になりましたか?
今回の医療健康大特集は、
「病院はこんなに怖いところ」という特集で、
- 人間ドックやがん検診は被爆するだけ
- その検査は病院が得するだけ
- 若い医者は間違える
などと指摘しているのですが、
「うつ病は薬を飲むほど悪くなる」
というのです。
日本の精神病薬の使用量は世界一で、
うつ病でも必要以上に処方されており、
薬を飲むとうつ病はかえって悪化するというのです。
週刊現代は「うつ病は薬を飲むほど悪くなる」と特集
週刊現代の6月8日号では、
「うつ病は薬を飲むほど悪くなる」
と報じているのですが、その記事の内容をご紹介しましょう。
日本における、
- 抗不安薬
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬
の人工1,000人当たりの使用料は、
- アメリカの6倍
- 世界一の使用量
だとしています。
東海大学名誉教授の田島知郎氏は、
- 世界で使用されている精神疾患の治療薬の1/5が日本で使われている
- 全世界における精神疾患の病床数の19%は日本にある
とのことで、
日本は精神疾患な入院患者や治療薬の処方量ではダントツで世界一だと指摘しています。
さらに、杏林大学名誉教授である田島治氏は、
うつ病で薬を飲んでいるのに良くならずむしろ悪化していると感じている人は、
大きな落とし穴にはまっている可能性がある
というのです。
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うつ病に抗うつ薬は効果がない?
では精神病薬の専門医はどうして、
うつ病は薬を飲むほど悪くなる
と指摘するのでしょうか?
軽症~中等症のうつ病の場合には、
治療薬として、
- SSRI(パキシル、ジェイゾロフトなど)
- SNRI(サインバルタなど)
が処方されることが多いのだが、
これらの薬では、
- セロトニンの作用を強める
効果があるのだが、
これが「良い効果」と「副作用」に繋がっているのだという。
特に、
SSRIは8割のうつ病患者では効果がない
という研究報告があるにもかかわらず多くのうつ病患者に処方されているというのです。
このことについてはこのブログでも、
で紹介しましたから読んでくださったと思います。
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抗うつ薬には副作用がある
多くの患者に処方されている抗うつ薬はSSRIといわれる薬です。
SSRIとはSelective Serotonin Reuptake Inhibitorsの略で、日本語では「 選択的セロトニン再取り込み阻害薬」といわれる抗うつ薬で、
うつ病患者では、脳内のセロトニンなどの量が少なくなっていることから、一度分泌されたセロトニンが細胞内へ回収(再取り込み)されることを防いで脳内のセロトニンの量を増やす効果があり、
商品名でいえば、
- パキシル(グラクソ・スミスクライン)
- ジェイゾロフト(ファイザー)
- デプロメール ルボックス(ソルベイ、アステラス、明治製菓)
などが一般的です。
SSRIで問題になるのは、
アクチベーションシンドローム(賦活症候群)
といわれる副作用で、
- 不安感や焦燥感が強まる
- 衝動的になる
- 自殺衝動を高める
などの症状が現れることが世界的に認識されているのです。
田島治医師は、
短期的に見れば薬を飲んで良くなるうつ病患者もいるが、
病気の生だと思っていた症状が薬の副作用だったということがある。
と指摘しています。
さらに高齢者では、
本当は軽度の認知症であるのに「老人性うつ病」と診断されて抗うつ薬を処方されている場合も多いというのです。
まとめ
うつ病で症状が重いときには抗うつ薬の処方は症状を軽減する場合も多く、
抗うつ薬の服用もムダではありません。
しかし、
だということが明らかになっており、
漫然と抗うつ薬の服用を継続することは良いことではないのです。
最近では、
うつ病は生活習慣病だともいわれ、
うつ病の改善には、
などの生活習慣の見直しも重要なのです。
しかし、抗うつ薬の多くでは、
服薬中止や減薬により、
- めまい
- 頭痛
- 自殺衝動
などの離脱症状がでることが多いことから、
服薬中断や減薬では必ず医師との相談においておこなうことが重要です。