うつ病では好きな色が変わる
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
誰でも好きな色があります。
あなたにも、自分の好みの色、自分のラッキーカラーがあるでしょう?
服や様々な身につける物を選ぶ時に自分で意識しなくてもいつも同じような色を選んでしまうことがあるでしょう?
しかし、
うつ病などの精神疾患では自分の好きな色が変わってしまうことがあるのだそうです。
精神疾患に陥ると好きな色や色彩感覚が変わってしまうことが多いのだそうです。
あなたは最近、好きな色が変わった経験がありませんか?
うつ病の人が好きな色は派手な色
先日、ウエッブ対談で、
小説家の貴志祐介と漫画家の田中圭一の話を読みました。
田中圭一さんは「うつヌケ」で有名になった漫画家ですが、
自身も長い間、うつ病で苦しんだのです。
その対談の中で田中氏は、
うつ病になった時、
まず全然活字が頭に入ってこなくなった。
通勤電車の中で見開き2ページだけは読もうと思っても、全く進まず、自分はダメな奴なんだと自己嫌悪に陥ってさらに気分が落ち込んだ。
と話しています。
そして興味深いのは、
ド派手な色のものばかり買っていまった。
大きな買い物では、マツダのメタリックグリーンの日本車のデミオ。
小さい物では、真っ赤なリュックを買ってしまった。
というのです。
くわしく見る ⇒ うつ病の人はド派手な色を選ぶ
メタリックグリーンや赤が好きだったわけではないのだそうですが、
「当時はド派手な色のものばかり買っていました」
と告白していたのです。
その理由は、
色があせて見えるわけではないものの、
・空が青くきれいだ
・オレンジいろの夕焼けがきれいだ
というような色彩で呼び起こされる感情の力が弱くっなっていたことや、
うつ病の時には注意力が低下して良く電車で忘れ物をしてしまい、
電話で問い合わせるときにも目立つような色を選んでしまっていたというのです。
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うつ病では色彩感覚が低下する
田中さんが、
うつ病の時には「色彩で呼び起こされる感情の力が弱くっなっていた」と話していましたが、
うつ病では、
・空が青くきれいだ
・オレンジいろの夕焼けがきれいだ
というような色彩感覚が低下するのです。
フライブルク大学の研究グループは、
うつ病患者では色のコントラストに対する感受性が低くなっている
ことを明らかにしています。
詳しく見る ⇒ Why does everything look gray when you feel blue?
うつ状態や不安を感じている人に、
色彩見本から自分の気分を表す色を選んでもらうとグレーを選ぶ場合が多い
ことが、実験ですでに明らかになっています。
実験では、
- うつ病で薬物治療を受けている患者 20人
- うつ病で薬物治療を受けていない患者 20人
- 健康な成人 40人
を対象に、
PERG測定により視覚コントラスト感度の違いを分析した結果、
うつ病患者では、
薬物治療の有無にかかわらず健康人に比べて視覚コントラスト感度が劇的に低かった
というのです。
視覚コントラスト検査というのは、
文字の大きさを一定で文字の濃度が薄くなったときにどこまで判別できるかという検査です
ドイツの研究グループは、
うつ病患者ではコントラストに対する網膜の網膜の反応が大幅に低下している
ことを明らかにしています。
絵画などでは、
- 憂うつ
- 絶望
などはダーク調に描かれますし、
文学でも、気分が落ち込んだときには、
- 世の中が灰色に見える
- 全てが色あせて見える
と表現されるのはウソではないのです。
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まとめ
うつ病になると、色彩のコントラストを感じにくくなるため、派手な色を好むようになるようです。
地味な色が好きだったのみ派手な色を好むようになったというように、色の好みが変わったらうつ病などの精神疾患の兆候があるのかもしれません。
しかし、
色によってヒトに喚起される感情が異なるという色彩心理学をうつ病の治療に取り入れているクリニックも多くあります。
赤は、
- 交感神経を活性化する
- 血圧を上げる
- 食欲を亢進させる
こうかがあり、大脳を活性化させるのでうつ病には好ましい色です。
黄は、
- 心臓や肝臓の働きを促進する
- 胃腸の活動を活性化させる
- 自律神経を活性化させる
ことなどから気分を高揚させスランプを解消して意欲的な気分にさせる効果があります。
気分が落ち込んだら赤や黄色などの「世の中が楽しいと感じられる色」に囲まれてみるのも良いことです。