今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
精神疾患の新薬開発を行っていた私が言うのも何ですが、
最近はうつ病は生活習慣病だとも言われるように、
薬だけに頼らず食生活・運動などを含めた生活習慣の見直しも重要だとされています。
さて今日も科学的根拠に基づいたうつ病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
最近はうつ病は生活習慣病だといわれるようになりました。
なかでも、
うつ病と食生活は非常に密接な関係にあり、
うつ病を改善するには食生活の見直しが重要だと言われます。
その背景には、
プロバイオテクスという概念が提唱され、
脳と腸とは密接な関係にあることが分かってきたからなのです。
書店をのぞいても、うつ病と食生活に関する本がたくさん並んでいます。
昨年の暮れに、「うつは食べ物が原因だった」という本が出版されました。
くわしく読む ⇒ うつ病は生活習慣病で食べ物が原因
全てのうつ病の原因が食べ物だとは言い切れませんが、
うつ病には多かれ少なかれ食生活も関与していることは間違いないようです。
お腹の調子が悪いとうつ病が悪化することは科学的根拠があることですし、
- 緊張すると下痢する
- 心配ごとが起きると下痢する
というようなことは多くの人で見られる現象です。
うつ病に大きく関わっているとされる、
- ドーパミン
- セロトニン
などの脳内の神経伝達物質は蛋白質から作られていることから、
- 肉
- 魚
- 大豆製品
などの良質の蛋白質をきちんと摂らないと、
神経伝達物質が不足してしまい、
- 集中力の低下
- 気分の落ち込み
- 不眠
などにつながということなのです。
前置きが長くなってしまいましたが、
今日は、
うつ病を改善するためにはどのような食生活をしたら良いのか
ということをお話ししたいと思います。
うつ病にならないための食生活
うつ病の患者数は近直の15年間で2.5倍も増加して112万人に増え、
うつ病の生活に障害を与える年数は全ての疾患の中で最も長く、
経済損失 は2 兆 7千億円にも達しているのです。
では、うつ病にならないためにはどんな食生活をしたら良いのか?
国立精神・神経医療研究センター・神経研究所の疾病研究第三部の功刀 浩部長は、
うつ病と食生活に関する研究の第一人者ですが、
平成28年12月7日に大阪府栄養士会が開催した、
「精神栄養学:うつ病にならないための食生活」
が非常に参考になりますのでご紹介したいと思います。
詳しく読む ⇒ うつにならないための食生活
現在のうつ病の治療法は、
主に、
- 休養
- 薬物療法
が中心で、
- 心の休息と環境の調整 : 過度のストレスを受けない環境をつくる
- 精神療法 : 支持的精神療法や認知行動療法
- 薬物療法 : 抗うつ薬や抗不安薬お処方
- 通電療法 : 重症のうつ病に適用
などがおこなわれるのですが、
最近は、
- 栄養・運動療法 : 栄養指導や食生活と運動などの生活習慣の改善
にも重点が置かれるようになっているのです。
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特に栄養・食事の指導では、
- 糖尿病やメタボリック症候群の予防
- 食事内容 : 地中海式食事内容の指導
などもおこなわれ、
- 脂肪酸 : n-3系脂肪酸の摂取
- アミノ酸 : トリプトファンなど必須アミノ酸の摂取
- ビタミン : B1、B6、B12、葉酸、ビタミン Dの摂取
- ミネラル : 鉄、亜鉛、マグネシウムの摂取
などの不足をさけるように指導されます。
オメガ3脂肪酸ともいわれるn-3系脂肪酸は、
脳のドーパミンやセロトニンの分泌を促ことから、
うつ病の食事では非常に重要なのです。
詳しく見る ⇒ 青魚を食べている人はうつ病になりにくい
トリプトファンなどの必須アミノ酸とビタミンB類は、
うつ病では不足してしまうセロトニンの合成に欠かせない栄養素なのです。
詳しく見る ⇒ うつ病の改善にはトリプトファンの多い食事が有効
さらには、
- 緑茶やコーヒーのうつ病の予防効果
- ヨーグルトなどのプロバイオティクスの有効性
などの効果も明らかになっているのです。
メタボとうつ病の関係では、
肥満、メタボリック症候群の人ではうつ病おリスクが1.5 倍も高い
ことが分かっています。
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まとめ
日本人の食生活は、
本来の日本食から西洋食に変わってしまいました。
かつてお食卓では、魚、野菜、味噌や醤油などの発酵食品が多かったのですが、
小麦(パン)やバター中心の食事内容が多くなってしまいました。
しかし、日本食や、魚やオリーブオイルが多い地中海式食事内容では、心臓病、がん、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)などのリスクが低いことが明らかになっています。
うつ病にならないための食生活はそんなに難しいことではありません。
- パンやご飯などの炭水化物は控えめ(できれば全粒粉のパンや玄米)
- たくさんの野菜と良質の蛋白質
- 果物や乳製品も積極的に
ということを心掛ければ良いのです。