サイト運営者のけんぞうです。
長年にわたり大手製薬会社で新薬開発に従事してきました。
今日も、うつ病に関する科学的根拠に基づく情報をお伝えします。
はじめに
花の香りやハーブの香りを嗅いだときには気分がすっきりしますし、
植物由来の揮発性の油であるアロマ(芳香)を使ったマアロマテラピーは、
心身のリラクセーションやストレス解消だけでなく、病気の予防や治療にも効果があるのです。
川崎医療福祉大医の研究グループは、
バラの香りはうつ状態を改善することを明らかにしました。
うつな気分になったらバラの香りを嗅いでみてください。
うつな気分が解消するかもしれません。
バラの香りはうつ状態を改善する
川崎医療福祉大学 大医療技術学部の上野浩司講師らの研究グループは、
バラの香り主成分である「フェニルエタノール」を、
マウスに嗅がせたところ、
ストレス環境下でもうつ状態になりにくいことを発見し、
バラの香りにはうつを予防する効果があるとフランスの科学雑誌Biomedicine & Pharmacotherapyに発表しました。
Biomedicine & Pharmacotherapy
Anti-depressive-like effect of 2-phenylethanol inhalation in mice.
バラの主要な香り成分であるフェニルエタノールが抗うつ作用を持つことをマウスで確認
詳しく見る ⇒ 川崎医療福祉大学・プレスリリース
研究グループは、
バラの香りの成分であるフェニルを、
- 吸わせたマウス10匹
- 吸わせないマウス10匹
の2つのグループについて、
- 逆さづりのような状態でストレスを加え
- 暴れるのを止める時間を測定
したのです。
暴れることを止めてしまう無動時間はうつ状態を示す行動なのだそうです。
その結果、
フェニルエタノールを吸わせないマウスでは平均8分間であったのに対し、
フェニルエタノールを吸わせたマウスでは1分半~2分だったのです。
研究グループは、
バラの香り成分であるフェニルエタノールが、
ストレスを緩和させ抗うつ作用を発揮する
ことが確認できたとしています。
さらに今回のマウスを用いた方法でニオイ成分の評価法が確立できたとし、
- メントール
- かんきつ類の果皮に含まれるリモネン
などについても精神状態にどう影響をおよぼすか調べたい、と述べています。
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バラの香りはストレスホルモンの分泌を抑える
バラの香りには人間のストレスホルモンの分泌を抑える働きあることが知られています。
資生堂の研究グループは、
被検者にストレスを与えると、ストレスホルモンとも言われるコルチゾールの血中濃度が平均35%も増加したが、
バラの香りを嗅がせた被験者では血中コルチゾール濃度がほとんど変化しないことを報告しています。
アロマテラピーではローズオイルには、
- 緊張を和らげる
- 落ち込んだ気分を解消する
- 自信を与える
- 幸福感を与える
などの効果があるとして使われています。
バラの香りの主要成分は、
- フェニルエチルアルコール
- シトロネロール
- ゲラニオール
- ネロール
などですが、
今回の研究報告で、
香水や化粧品などにも使われるバラの香りの成分であるフェニルエタノールに抗うつ作用があることが明らかになったのです。
研究グループは、
- 香り成分の精神状態に対する作用のメカニズムの解明
- 香り成分を利用した新たなうつ病の治療・予防方法
に繋げたいとしています。
気分が落ち込んでうつ状態のときにはバラの香りをかいでみたらいかがでしょうか?