うつの症状、特にうつの初期症状は非常に見つけにくいものです。
善し悪しは別として「うつは心の風邪」といわれるように、
- うつの症状は気分の落ち込み
- 誰でもがなる可能性がある
ということで、
- その内に治るだろう
- 気のせいだろう
ということで、放置してしまうことが多いのです。
うつでは、
- 早期発見
- 早期治療
で改善するのですが、
放置してしまうとなかなか大変なことになるのです。
うつと正常は見分けにくい
うつの初期症状は、
正常時にもみられる気分の落ち込み
です。
気分の落ち込みなどは、
- 誰でもが、
- 頻繁に、
起こる気分の不調で正常と異常の区切りが曖昧なのです。
異常か正常かは継続期間
正常と異常の区切りが曖昧なために早期のうつは、
- そのうち治るだろう、、
- 気のせいだろう、、
と、甘くとらえられてしまうことが多いのです。
正常か異常かの判断のひとつは、
気分の落ち込みが2週間続いている
ということです。
うつの診断基準として使われているアメリカ精神医学会が提唱している、
DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の診断と統計マニュアル第5版:)
は、2013年の改訂において、
喪失や死別などにおける悲哀反応も2週間持続すると大うつ病診断できる
と改訂しているのです。
詳しく読む ⇒ DSM-5(American Psychiaric Association)
DMS-5の診断基準ではその他にも、
- 抑うつ気分
- 興味や喜びがなくなる
- 食欲の減退や増加
- 不眠や睡眠過多
- イライラ感
- 疲労感や気力の減退
- 罪悪感を感じる
- 思考力や集中力の低下
- 自殺したい気分
などの気分の変調を診断基準に入れていますが、
日本うつ病学会でも、
9項目の内で5項目が2週間継続していればうつ病と診断する
としているのです。
詳しく読む ⇒ 日本うつ病学会の診断基準
したがって、
短時間の問診で機械的に診断してしまえば多くの症例でうつと診断されてしまう
危険があるのです。
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快食 、快眠 、快便ならうつの心配はない
うつは、
- 正常と異常の区別があいまい
- 頭痛や腹痛などと違って自覚症状がない
ために、
- 外に出なくなる
- いつもボーットしている
- 刃物などをじっと見つめている
など、病状が進んで症状がでるまで周囲の家族も気付かないことが多いのです。
先日ご紹介しました、
という「Science Alert」の発表を読んでいただけましたでしょうか?
抑うつな気分は、
- 生活の意欲がない
- 笑う意欲がない
- 学ぶ意欲がない
- 愛する意欲がない
という簡単な4つの言葉で診断できるというのです。
今日ご紹介するのは、
国際医療福祉大学の福岡保健医療学部 精神医学の教授である原 富英氏が提唱する、
- うつの早期発見
- うつの見分け方
です。
うつの早期発見のコツ
原 氏は、
快食 、快眠 、快便ならうつの心配はない
と述べています。
詳しく読む ⇒ プレジデント
気分の不調を知らせる最も感度が高い指標は、睡眠、食欲、排便だとして、
- 不眠
- 食欲低下
- 便秘
が2週間以上続いたときは要注意だと指摘しています。
不眠も食欲不振も便秘も誰でもよくおこりがちな身体の異常ですが、
短期間で回復すれば問題なく、
2週間以上も続くときには、
- 心の不調
- うつの疑い
を考えた方が良いというのです。
その他には、
自分の趣味をよく知っておく
ことも大事だとしています。
趣味といっても、
- ゴルフ
- 読書
などといった趣味ではなくても、
- テレビの時代劇を見るのが好き
- ビールを飲みながらテレビの野球を見るのが好き
といったものでも良いというのです。
そして、
- 最近は時代劇を見なくなった
- 最近はナイターを見なくなった
という、趣味や興味の変化に早めに気付くことがうつの早期発見につながると述べています。
最近は、
インタネットなどでうつの自己診断
が簡単にできるようになりました。
このブログでも、
を紹介しています。
最近は、ウェブサイトなどで自己診断し、
私はうつ病だと思うのですが、、、
と来院される方が増えているのだそうですが、
経験的に「まず問題ない」そうですが。
自己診断のチェックリストではその時の気分に左右されるので要注意だと原氏は述べています。
- 自己診断するということは精神的な不安や心配事を抱えている
- 自己診断では緊張などから点数が悪くなる
というのです。
精神科医によるうつの診断では、
臨床所見とチェックリストの組み合わせでおこなうのが基本で、チェックリストはあくまで補助診断だそうです。
さらに、診断マニュアルの使用に際しては、
- しっかり教育を受けた熟練した医師が使用する
- 診断基準の適切な使用では豊富な臨床研修が必要
であることから、
うつの専門医のいる精神科を受診することを奨めています。
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