うつ病は精神的な疾患ですから、
- 高血圧における血圧値
- 糖尿病における血糖値
などのような客観的な診断基準がありません。
うつ病の診断では、アメリカ精神病学会の診断基準を用いて、
- やる気がでない
- 物事に興味がない
などの、抽象的な問診で行わなければならないのが現状なのですが、
イギリスのレディング大学の研究グループは、
うつ病の人が使う言葉には3つの特徴がある
と報告しています。
書いた文章の特徴でうつ病が診断できるかもしれません。
うつ病の人の文章には3つの特徴がある
イギリスのレディング大学の研究グループは、
うつ病の人が使う言葉には3つの特徴がある
と報告しています。
In an Absolute State: Elevated Use of Absolutist Words Is a Marker Specific to Anxiety, Depression, and Suicidal Ideation
Finally, we found elevated levels of absolutist words in depression recovery forums. This suggests that absolutist thinking may be a vulnerability factor.
詳しく読む ⇒ 論文要旨
詳しく読む ⇒ 原著論文(全文)
研究グループは、
- うつ病を患った詩人の著書
- インターネット上で公開されているうつ病の人のエッセイやブログ
- うつ病の人のインターネットフォーラム
などについて、
よく使われている単語や語彙などについてコンピューターによる言語分析をおこなったところ、
うつ病の人の文章には3つの特徴があることが判明したというのです。
うつ病患者では、
- 私否定的な言葉
- 1人称
- 絶対的な言葉
などを多用するという3つの特徴が判明し、
この特徴ある言葉を
language of depression(うつ語)
と名付けています。
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うつ病の人の言葉の3つの特徴
それではうつ病の人が書く文章などにどんな特徴があったのか見てみよう。
1)否定的な言葉を多用する
うつ病の人が書いた文章では、
- 孤独
- 悲しい
- 寂しい
- 悲惨な
というような、
- 否定的
- ネガティブ
な言葉がよく使われている。
2)私や自分を多用する
- 自分
- 私
などの1人称が多く使われており、
- あなた、彼(2人称)
- あなた達、彼ら(3人称)
などはあまり使われない。
3)絶対主義的な言葉の多用
うつ病の人が書いた文章では、
- 絶対に
- 完全に
- 明確に
というような絶対主義的な言葉が多い。
研究グループは、
いかがでしょうか?
うつ病の人が、
悲しい、寂しい、というような言葉を多く使うのは理解できますね。
その他の言葉の特徴について研究グループは、
うつ病では考えが内向的になり自分自身に意識が偏ってしまうことや、
他者とのコミュニケーションが少なくなることから、
1人称の言葉が多くなる。
うつ病になる人には、完璧主義や絶対主義の人が多く、
プラスかマイナスか、白か黒か、などをはっきりさせたい正確が背景にあることから、
絶対主義的な言葉が多く使われているのではないか、
とコメントしています。
今回の研究は、うつ病患者の書いた文章の解析によるものでしたが、
近い将来、AI技術により「会話」によってうつ病の診断ができるようになるかもしれません。
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