今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
妊娠して赤ちゃんを授かることは嬉しいことのはずなのですが、
- 気分が落ち込んでやる気が起きない、、、
- 憂うつな気分が続く、、、
という人も少なくありません。
最近、妊娠中や出産後にうつ病になる妊娠うつ病の患者が増えているのです。
妊娠に伴うホルモンバランスの変化により、
憂うつな気分の抑うつ状態になることは多くの妊婦が経験することですが、
「憂うつな気分の抑うつ状態」と「うつ病」の違いは、
どのくらい長く憂うつな気分の抑うつ状態が続いているか?
という期間だけの差なのです。
憂うつな気分で抑うつ状態が続くときにはできるだけ早く解消する必要があります。
憂うつな気分の抑うつ状態の解消には、
- カラオケ
- 映画鑑賞
- 友達と話す
など、さまざまな解消方法がありますが、
富山大学の研究グループは、
妊娠期に魚をよく食べる人では「抑うつ状態」の人が少ないことを明らかにしました。
妊娠中に魚を食べると抑うつ状態が少ない
富山大学の大医学部の浜崎景准教授らの研究グループは、
妊娠中に魚を食べると抑うつ状態になりにくい
との研究結果を英国の科学雑誌に発表したとプレスリリースしました。
詳しく見る ⇒ 富山大学プレスリリース
Dietary intake of fish and n-3 polyunsaturated fatty acids and risks of perinatal depression: The Japan Environment and Children’s Study (JECS)
詳しく読む ⇒ 原著論文
富山大学の研究グループは、
環境省が行っている「エコチル調査」をもとに、妊娠中の魚を食べる量と抑うつ状態について分析したのです。
エコチル調査とは、環境省が2011年から国内の10万組の親子を対象におこなっている「子どもの健康と環境に関する全国調査」で、
全国15地域の10万組の両親とその子供を対象に、妊娠中から子供が13歳になるまでの健康状態を定期的に調べる大規模調査です。
詳しく見る ⇒ 環境省エコチル調査
具体的には、
エコチル調査に参加した7万5,000人の妊婦について、
- 1日に食べる魚介類の量
- 抑うつ状態
を分析し、
妊娠期の精神状態におよぼす魚介類の影響
を調べたのです。
その結果、
妊娠の中期や後期では、
魚を食べる量が「少ない」と答えた人は、
魚を食べる量が「やや少ない」「中程度」「やや多い」「多い」という人より抑うつ状態になりやすい
ということがわかったのです。
妊娠中に良く魚を食べる人は抑うつ状態になりにくいというのです。
そして、
- 妊娠前期では「やや少ない」「中程度」の人が抑うつ状態になりにくい
- 産後には「やや少ない」「中程度」「やや多い」人は抑うつ状態になりにくい
という傾向も見られたということです。
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魚を食べると抑うつ状態やうつ病が少ない
研究グループの代表である浜崎准教授は、
胎児の発育が盛んな妊娠の中後期にオメガ3脂肪酸の豊富な魚を食べることで抑うつ状態を予防する効果があるとしていますが、
- うつ病の患者では血中のオメガ3酸濃度が低い
- 魚をよく食べる人にうつ病の有病率が低い
ことが知られていますが、
国立がん研究センターは昨年の9月に、
青魚を食べる人はうつ病になりにくい
という研究結果を発表しています。
詳しく見る ⇒ 青魚を食べる人ではうつ病が少ない
国立がん研究センターの研究グループは、
心の健康を保つために1日100g程度の魚を食べて欲しい
とコメントしていますが、
1日100g程度の魚とは、
- サバの切り身 : 80g程度
- イワシ1匹 : 80~100g程度
に相当します。
このサイトでは何回も紹介しましたように、
ということに関しては多くの科学的根拠(エビデンス)があるのです。
今回の富山大学の研究でも、
魚をやや多く食べている父親は抑うつ状態になる割合が少なかったことがわかっています。
富山大学の研究グループは、
魚には、
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
- EPA(エイコサペンタエン酸)
などのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれ、
DHAには脳や神経の発育に重要な働きをしており妊娠中や授乳中の母親は多くのDHAを摂ることが推奨されているだけでなく、
DHAやEPAは、ぜん息やアトピーなどの炎症性疾患、認知機能、気分の落ち込みなどとの関連が示唆されており積極的にとることを勧めているのです。
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