うつ病を血液検査で診断
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
週刊ポスト・11月24日号に気になる記事がありました。
「血液検査で分かるあの病気」という特集です。
採血した数滴の血液で命に関わる疾病リスクが高精度でわかるというのです。
従来の血液検査の常識をくつがえす新たな検査方法が、
相次いで実用化されている、、という内容なのです。
そして、最新新技術により血液検査で診断が可能になった疾患には、
- 認知症
- 糖尿病
- 脳梗塞・心筋梗塞
- うつ病
と、うつ病も挙げられています。
うつ病の診断は主に医師による問診であるため、ICD-10やDSM-5など国際的な診断基準はあるにしても、
- 医師の経験や習熟度
- 患者の応答
などによって診断が大きく左右されることも希ではないのです。
ですから、
血液検査で客観的にうつ病を診断できるとしたらこんなに心強いことはありません。
うつ病を血液検査で診断できる最新技術とはどんな技術なのか?
さっそく調べてみました。
うつ病を血液検査で診断できる技術とは
現在のうつ病診断は精神科の医師による問診しか⼿段がないため、
定期的な健康診断や精神科以外の診療科でうつ病を発⾒するのは無理なのです。
うつ病は早期に発見して適正な治療を行うことによって予後も良好で再発も防ぐことが可能なのです。
うつ病の早期診断技術としては、
など、
専門医以外でも診断できる客観的なバイオマーカーの研究が行われていますが、
まだ実現していません、、。
週刊ポスト11月24日号では、
血液検査でうつ病の診断が可能になったというのです。
記事では、
川村総合診療院の川村則行院長は採血によるうつ病判定を開発した。
脳内には喜びや感情を創り出すアナンダミドという物質があり、
それに関わるリン酸エタノールアミン(PEA)の血漿中の濃度を測定するPEA測定を開発しました。
PEA濃度が1.2μMより低い人は88%がうつ病と考えられます。
と紹介しています。
うつ病を血液検査で簡便に診断する検査法を開発
「PEAの血漿中の濃度を測定するPEA測定を開発」
ということで、
「PEA測定」について調べてみると、
2011年6月に、
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)と外苑メンタルクリニックが、
うつ病のバイオマーカーを見い出し特許を出願した
として、プレスリリースを出しています。
これによれば、
- うつ病患者の血液中に健常者では見られない特有の13 物質を見いだした
- その中の EAP はうつ病患者で血中濃度が低下していた
- うつ病が改善するとEPA濃度は正常基準値まで上昇した
というのです。
・外苑メンタルクリニックは現在の川村総合診療院です。
・プレスリリースではエタノールアミンリン酸(EAP)としていますが、その後は、リン酸エタノールアミン(PEA)と表記していますが同一物質です。
詳しく見る ⇒ プレスリリース
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血液検査でうつ病を診断する
では、実際にPEA測定でうつ病を診断できるのでしょか?
いろいろ調べてみると、
2014年に4月13日付けの日本経済新聞が、
PEA測定によるうつ病の診断に関する記事を掲載しています。
これによれば、
川村医師は国立精神・神経センターに勤務していた2002年頃にうつ病のバイオマーカーの研究を開始し、
精神疾患を発症すると免疫力が低下する
という臨床的事実から、
血液内になんらかの変化が現れているはずと考え、
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズと血中バイオマーカーの探索を始めたのだというのです。
その結果、
EAPを見いだし、EAPの測定法も確立したのだとのことです。
EPAによるうつ病の診断では、
- 診断の感度は80%以上
- 測定費用は1万円~2万円程度
であり、1,200人、2,500例を目標に計測を実施し、
2019年を目処に保険適用を目指すとの記載です。
詳しく見る ⇒ コチラ
実用化されれば、
精神科の受診を嫌がる人も多いことから、
血液検査でうつ病の診断ができるようになれば、精神科以外でもうつ病の早期に診断できるようになるだけでなく、
抗うつ薬の効果の判定も可能となるため、抗うつ薬の適正利用ができ、治療期間の短縮も期待できるというのです。
川村総合診療院では、2011年6月6日に厚生労働省から臨床医学研究の承認を得ており、
ご関心のある患者様は、ぜひ、PEAの測定を体験してください。
平成28年度も引き続き無料で行います。
結果は2~3週間程度でお返しいたします。
とホームページに記載しています。
詳しく見る ⇒ 川村総合診療院
PEAを測定により、
- 健常者
- 適応障害
- パニック障害
とうつ病を区別することは90%程度、可能だとしています。
先日お知らせしましたように、
DNAチップ研究所は、
2018年春までに関連遺伝子によるうつ病の診断サービスを開始する
ことを明らかにしており、
採血により簡単にうつ病を早期発見することも可能になるようです。
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