老人性うつ病は認知症の初期症状の可能性がある

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

うつ病の生涯有病率は、

  • 女性 : 10~25%
  • 男性 :  5~12%

といわれ、女性では4~5人に一人が生涯でうつ病に罹患するというのです。

 

そして、女性では60歳代70歳代での老人性うつ病の患者が増えています。

老人性うつ病は認知症と間違われてしまうことが多く、

老人性うつ病は仮性認知症といわれるのですが、

老人性うつ病は認知症の初期症状の可能性があるとの研究報告が発表されました。

そして、

うつ病の人は認知症になるリスクが高いというのです、、

 

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老人性うつ病は認知症の初期症状の可能性

うつ病になると認知症になりやすい、ということはしばしば言われるのですが、

うつ病と認知症の関係は良く分かっていないのです。

先日は、

老人のうつ病は認知症と見分けにくいということを書いたのですが、

  • 老人のうつ病は認知症と間違われやすい
  • 老人のうつ病を放置すれば認知症に進む

のです。

 

オーストラリアの研究グループは、

  • うつ病の高齢者は認知症を発症しやすい
  • うつ病は認知症の初期症状の可能性がある

の可能性があるとの論文を発表しました。

 

Depression as a modifiable factor to decrease the risk of dementia.

Older men with history of depression are at increased risk of developing dementia, but depression is more likely to be a marker of incipient dementia than a truly modifiable risk factor.

詳しく読む ⇒ コチラ

 

この論文を発表したのは、西オーストラリア大学の研究グループですが、

高齢(71~89歳)の健康な男性(4,922人)を14年間にわたって調査し、うつ病の罹患状態や認知症などについて調べたのです。

 

その結果、

  • うつ病を発症した人 : 682人(過去:388人、現在:294人)
  • 認知症を発症した人 : 903例(18.3%)

でしたが、
認知症の発症とうつ病の関係については、

  1. 過去にうつ病だった人より現在うつ病の人の方が認知症を発症しやすい
  2. うつ病でない人に比べてうつ病の症状が重くなるほど認知症の発症率が高い
  3. 抗うつ薬の服用は認知症の発症を低下させない

ということが明らかになったとしています。

 

研究グループは、

  • うつ病歴のある高齢者は認知症を発症しやすい
  • うつ病は認知症の初期症状である可能性がある

と結論しています。

 


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老人性うつ病は認知症になりやすい

高齢者のうつ病、すなわち老人性うつ病の症状も、

  1. 落ち込んだ気分
  2. やる気がない
  3. 不安や焦燥感

と、若い人のうつ病の三大症状と変わりありません。

 

認知症の増加は社会的な問題ですが、高齢者のうつ病も非常に増えているのです。

 

そして、

老人のうつ病は認知症と見分けにくいのです。

また、高齢者のうつ病は非常に治りにくいのです。

 

今回ご紹介した論文は、

「高齢者のうつ病は認知症の初期症状の可能性がある」

というものでしたが、

 

うつ病からアルツハイマー型認知症に移行する人が多い

ことも分かっています。

 

この論文はまた改めてご紹介しますが、

欧州でおこなわれた調査では、

うつ病の患者2,220人を6年間追跡したところ、

うつ病から軽度認知障害へ移行し、

最終的にアルツハイマー型認知症に移行した人が85%に達した。

というのです。

 

このように、

うつ病と認知症とは非常に密接に関係していることが分かってきているのです。

 

今回の論文でも、過去にうつ病だった人はうつ病でない人よりも認知症を発症しやすいこと述べており、

若いときに発症したうつ病も認知症の発症に関与していることが明らかになりつつあります。

うつ病が認知症を引き起こすメカニズムについてはまだはっきり分かっていませんが、

 

  1. 食事や運動などのライフスタイル
  2. ポジティブ思考

が関与しているのではないかと唱える研究者もいます。

 

若いときから食事のコントロールや運動習慣やストレスの発散方法を身につけている人はうつ病や認知症になりにくいというのです。

 

うつ病と認知症は判別が非常に難しく、認知症と思っていたらうつ病だったというケースも多いのです。

さらに、老人性うつ病では自殺者が非常に多いのも特徴なのです。

 

うつ病と認知症はそれぞれ治療方法も違いますから迷ったら精神科や認知症を専門とする医療機関を必ず受診してください。

そして安易に薬に頼るのではなく、先ずは食生活や運動、睡眠などの生活習慣の改善でがうつ病や認知症の予防や改善に効果的なのです。


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