今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
妊娠すると薬の影響や副作用が気になるものです。
頭痛で薬を飲むときにも、お腹の赤ちゃんへの影響や副作用を心配してしまいます。
- 飲んだ薬が赤ちゃんに悪影響を与えないか、、、
- この薬には赤ちゃんに悪い副作用がないか、、
妊娠中には薬を飲むことを躊躇してしまいますよね。
特に精神疾患で抗うつ薬などを飲んでいたときなどは非常に心配で、薬を止めてしまう人も少なくないのです。
アメリカの研究グループは、
妊娠初期の抗うつ薬は自閉症スペクトラム障害あるいは注意欠如・多動症のリスクはなかったと報告しています。
心配であれば主治医に聞くことが一番なのですが、
安心してうつ病の治療も続けてください。
抗うつ薬の妊娠に対する影響や副作用
妊娠の初期において抗うつ薬を服用することは、
胎児にセロトニンのシグナル伝達機能障害を起こす可能性があるとの指摘もあるのですが、
アメリカのインディアナ大学の研究グループは、
妊娠の初期に抗うつ薬を服しても未熟児、自閉症、アスペルガー、注意欠如・多動症などのリスクの増加はなかった
と報告しました。
Associations of Maternal Antidepressant Use During the First Trimester of Pregnancy With Preterm Birth, Small for Gestational Age, Autism Spectrum Disorder, and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Offspring
研究グループは、
- 1996~2012年の間にスウェーデンにおいて、
- 妊婦94万3,776例における、
- 158万629例の新生児を、
- 最長17年、
追跡追跡調査して、
妊娠の初期における抗うつ薬の服用と出産や新生児の神経発達の関連性を検討
したのです。
検討した項目は、
- 早産
- 未熟児
- 自閉症スペクトラム障害
- 多動性障害
などです。
その結果、
妊娠初期の抗うつ薬の服用は、
- やや早産の傾向があった
- 自閉症や多動性障害などとは関連がない
ということが明らかになったのです。
詳しく読む ⇒ コチラ
服用した薬物が胎児の脳、せき髄、身体形成に大きな影響を及ぼすのは、妊娠15週位までといわれています。
今回の研究報告でも妊娠初期の抗うつ薬の服用は胎児への影響はないようです。
では、
- 妊娠前に飲んでいた薬の影響は、、
- 夫が飲んでいる抗うつ薬の影響は、、
と、気になるでしょうが、
- 受精後2週間までに薬物の影響があれば早期流産などにより妊娠が中断される
- 妊娠前や夫の服薬の影響があれば授精しない可能性が大きい
などの可能性が大きく、心配する必要はなさそうです。
いずれにしても、立派な赤ちゃんを産むためには母体の健康が第一です。
抗うつ薬を飲むと胎児の奇形が増加するなどという科学的に明らかな証拠はないのですから、自己判断で服薬を中止することは賢明とはいえません。
どうしても心配であれば、産婦人科や心療内科の主治医に相談してください。
なお、
喫煙や飲酒の方が抗うつ薬よりもはるかに胎児に悪影響をおよぼします
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