食事内容を変えればうつ病を予防できる
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
先日は、揚げ物の食べ過ぎはストレスに対応する能力が低下してうつ病になりやすい
という論文をご紹介しました。
食事内容とうつ病は非常に密接な関連があるのです。
うつ病を予防するには食事内容を見直してください。
食事内容を変えればうつ病を予防できるのです。
うつ病を予防する理想的な食事内容はバランスの取れた食事です。
食事内容を変えればうつ病のリスクが下がる
オーストラリアのプライオリティー・リサーチセンターの研究グループは、
食事内容とうつ病との関連について大規模な疫学調査をおこない、
- 果物、野菜、魚、全粒穀物をたくさん食べている人ではうつ病のリスクが低い
という研究論文を発表しています。
A systematic review and meta-analysis of dietary patterns and depression in community-dwelling adults.
CONCLUSIONS :
The results suggest that high intakes of fruit, vegetables, fish, and whole grains may be associated with a reduced depression risk.
However, more high-quality randomized controlled trials and cohort studies are needed to confirm this finding, specifically the temporal sequence of this association.
詳しく読む ⇒ 原著論文
研究グループは、食事内容とうつ病との関連に関する21の試験成績についてメタ解析したのです。
メタ解析とは、複数の研究の結果を統合して、より高い見地から分析する手法で、エビデンスに基づく医療において最も質の高い根拠とされています。
食事内容は、
- 健康食(healthy diet)
- 西洋風食事(Western diet)
に分けられたそうですが、
健康食とは、
- 果物
- 野菜
- 魚
- 全粒穀物
がおおい食事内容で、
西洋風食事とは、
- 肉が中心
- バターなどのが多い
といった食事内容なのですが、
- 健康食ではうつ病のリスクが有意に低下していた
というのです。
食事内容によってうつ病のリスクが変わることが明らかになってるのです。
あなたの食事内容はどうでしょうか?
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魚を食べるとうつ病のリスクが低下する
先日は日本医科大学の研究グループによる、揚げ物の食べ過ぎはうつ病のリスクが高くなるという論文を紹介しました。
- 揚げ物の食べ過ぎはストレスに対応する能力が低下しうつ病のリスクが高くなる
というのです。
そして
- 魚をたくさん食べる人ではストレスに対する抵抗力が高くうつ病になりにくい
というのです。
魚のn-3不飽和脂肪酸はうつ病予防に効果がある
魚を食べるとうつ病に良いという研究報告は海外でも報告されています。
イタリアのOspedaliero大学の研究グループは、
魚に含まれるn-3不飽和脂肪酸の摂取量とうつ病との関連についてメタ解析をおこない、
- n-3不飽和脂肪酸の摂取量が多いとうつ病になりにくい
と報告しています。
Dietary n-3 PUFA, fish consumption and depression: A systematic review and meta-analysis of observational studies.
CONCLUSIONS:
The present analysis supports the hypothesis that dietary n-3 PUFA intake are associated with lower risk of depression.
詳しく読む ⇒ 原著論文
研究グループは、
魚の摂取量とうつ病との関連を報告した、31件の論文(25万5,076人、うつ病2万人)を解析した結果、
- 魚類の摂取が多いとうつ病のリスクが低減した
- 食事によるn-3不飽和脂肪酸の摂取量が多いとうつ病のリスクが低下した
- n-3不飽和脂肪酸を1日に1.8g摂取するとうつ病のリスクが減少した
ということを報告しています。
うつ病と魚の関係
唐揚げを食べ過ぎるとうつ病になりやすい、というところでも簡単に説明したのですが、
うつ病と脂肪についてお話ししましょう。
脂肪は、肉、魚、植物などに含まれ、炭水化物、蛋白質と供に三大栄養素といわれます。
脂肪にさまざまな種類があるのですが、中でも不飽和脂肪酸といわれる脂肪は、私達の体の中で作ることができないため、
食事として摂る必要があり必須脂肪酸といわれます。
必須脂肪酸である不飽和脂肪酸の代表的なものは、
- n-6不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸)
- n-3不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)
であり、
それぞれ下記のような食品に含まれます。
名称 | 成分 | 食品 | 作用 |
---|---|---|---|
オメガ6脂肪酸 | リノール酸 リノレン酸 アラキドン酸 |
ベニバナ油、大豆油 母乳、月見草油 体内合成、魚油 |
コレステロール低下摂り過ぎはDHLを減少 |
オメガ3脂肪酸 | リノレン酸 EPA DHA |
エゴマ、シソ油 青魚 |
動脈硬化予防、がん抑制、認知症予防 |
オメガ3脂肪酸は、イワシやサバなどの青魚、エゴマ油、シソ油などに含まれているのですが、現代の日本では、食生活の欧米化や魚食の減少によってオメガ3脂肪酸の摂取量が減っていると指摘されているのです。
オメガ3脂肪酸が動脈硬化の予防効果があることは広く知られていますが、
最近は、
- アレルギー抑制効果
- 脳や神経細胞の活性化による認知症の予防
- うつ病の改善や予防
に注目され、
- n-3不飽和脂肪酸は感情の調整で重要な役割をはたしている
ことが分かってきました。
そして重要なのは、
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取量のバランスが崩れると感情調節がうまくいかなくなり、
うつ病などの精神疾患が起こりやすくなる可能性が示唆されているのです。
うつ病には揚げ物より魚が良いのところでもお話ししましたが、
揚げ物が悪く、魚が良いわけではありません。
うつ病を予防するにはバランスの取れた食事内容が重要なのです。
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