家族や周囲の理解がうつ病の回復につながる
サインバルタなどの抗うつ薬を販売する精神科領域で世界トップのイーライリリー社が、
うつ病患者の実態調査の結果を公表しました。
その結果、
- うつ病患者の大半がうつ病になるとは思っていなかった
- うつ病の症状を感じてから受診までに6ヵ月以上もかかっている
というようなことが明らかになりましたが、
- うつ病と診断されたことを家族や周囲に打ち明けることが回復に繋がる
ことも分りました。
独りで抱え込まずに家族や周囲に打ち明けることも必要なのです。
イーライリリー社のうつ病患者の実態調査
イーライリリー社はプロザック、ジプレキサ、サインバルタなどの抗うつ薬を販売し、精神科領域では世界トップの製薬会社です。
そのイーライリリー社が、
うつ病と診断されたが現在は社会生活に復帰している、あるいは復帰に向けて調整中にある、20~60歳代の男女517名を対象にアンケート調査をおこないました。
この調査は、
「うつ病患者の疾患に対する認識および回復の途上における周囲との関わりについて明らかにする」
という目的でおこなわれたものですが、
昨日お伝えしましたように、さまざまなことが明らかになりました。
詳しく見る ⇒ 自分がうつ病になるとは思わなかった
うつ病患者の60%が、
「自分がうつ病になるとは思っていなかった」
考えており、
1/3の患者で、
「うつ病の症状を感じてから医療機関を受診するまでに6ヵ月以上」
もかかっているのです。
症状を感じてから医療機関を受診するまでに長時間を要している理由は、
- 自分の頑張りや気持ちのもちようで解決できると思った
- 性格の問題で病気ではないと思った
と考えていたり、
- うつ病の症状だと思わなかった
と、いうことも判明し、
イーライリリー社では「うつ病に対する理解の不足が受診を遅らせている」ことが明らかになったとしています。
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家族や周囲の理解がうつ病の回復につながる
さらに、この実態調査では、
家族や周囲の理解がうつ病の回復につながっていることも明らかになりました。
うつ病になったことを家族や周囲に打ち明けたか
Q:うつ病になったことを家族や周囲に打ち明けたか
という質問には、
- 配偶者に伝えた : 89.5%
- 自分の親に伝えた: 69.5%
- 友人に伝えた : 58.3%
- 職場の人に伝えた: 57.5%
- 兄弟姉妹に伝えた: 56.0%
- 子どもに伝えた : 50.2%
と、大部分の人とが誰かしらに「うつ病と診断された」ことを伝えているのですが、
既婚者では配偶者に、非既婚者は自分の親にと最も近い家族に打ち明けた人が多いようです。
伝えなかった理由としては、
- 心配をかけると思ったから
- 言っても分かってくれると思わなかったから
- 伝える必要がないと思った
と答えています。
職場の人に伝えた人は配偶者や家族に伝えた人に比べて少なかったのですが、
職場の人に伝えなかった理由としては、
- 普通に接してほしかったから
- 伝える必要がないと思ったから
- うつ病についてよく知らないと思ったから
などと答えています。
Q:うつ病と診断されたことを伝えた相手はうつ病を理解してくれたか?
の質問に対して、
理解してくれたと答えた人は、
- 配偶者 : 82.4%
- 友人 : 81.7%
が「理解してくれた」と答ていますが、
- 職場の人 : 57.5%
と立場の違いによりうつ病に対する理解度に差があったとしています。
家族や周囲に打ち明けてどうだったのか
さて、
配偶者や家族、友人などにうつ病を打ち明けてどうだったのでしょうか?
Q:打ち明けて役に立ったか?
との質問に対しては、
周囲に打ち明けた人の 78.2%が「回復に役立った」と答えています。
打ち明けた人によって「回復に役立った」ことは違ったのでしょうか?
配偶者や友人に打ち明けて回復に役立ったと答えた人は80%を超えていますが、
職場の人に打ち明けて回復に役立ったと答えた人は69%に留まっています。
- 配偶者に伝えて役だった : 83.4%
- 自分の親に伝えて役だった : 76.5%
- 友人に伝え伝えて役だった : 81.8%
- 職場の人に伝えて役だった : 69.8%
- 兄弟姉妹に伝えて役だったた: 73.0%
- 子どもに伝えて役だったた : 80.5%
回復に役立ったと答えた打ち明け先は、
- 配偶者
- 友人
- 子供
など、親密度の高い人に打ち明けることが回復に役立つようです。
うつ病の回復には親密度の高い人に打ち明けることが回復に役立つようですが、
うつ病だと打ち明けられない理由は、
- 普通に接してほしかったから
という答えが多かったのですが、
打ち明けた後の家族や周囲の接し方はどうか
気になるのは、
打ち明けた後の周囲の接し方はどうだったのかということです。
打ち明けた後の「配偶者の接し方」は、
と、「普段通りに接してくれた」、「理解してくれた」、「そっとしておいてくれた」と、打ち明けることを危惧するような変化はなかったようです。
そして、
打ち明け先としての割合の少なかった「職場の人の打ち明けた後の接し方」は、
「うつ病になる前と変わらず普段通りに接してくれた人」の割合はほぼ同じで、
「必要以上に関わらずそっとしておいてくれた人」が多いのです。
うつ病になった人の多くは配偶者や家族など周囲の人に「うつ病と診断された」と打ち明けています。
そして、
その80%に人が「打ちかけたことが回復に役立った」と答えているのです。
さらに、職場の人には打ち明けることをためらう人も多いのですが、
「うつ病になる前と変わらず普段通りに接してくれた」、
「必要以上に関わらずそっとしておいてくれた」という人が多く、
職場の人にも打ち明けた方がうつ病の回復には良さそうです。
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