うつ病は気分障害といわれる精神的な病気ですが、他の疾患とも大きな関わりがあるようです。
うつ病では心筋梗塞の発症リスクが4倍以上に高まると言われていますが、
最近の研究では、うつ病とがんとの関連が指摘されています。
すい臓がんでは身体症状の異常を自覚する約6ヵ月前にうつ状態などの精神症状が先行するといわれています。
がんに先行して現れる、うつ病や躁うつ病などの気分障害は、
警告うつ病
ともいわれ、がんの予兆や初期症状ともいわれているのです。
仕事や人間関係でも悩みもなく、うつ病の原因が思い当たらないならがんの初期症状かもしれません。
うつ病はがんの初期症状なのか?
3月2日のORICON NEWS(http://www.oricon.co.jp/article/130399/)によれば、
イギリスにおいてうつ病とがんに関する大規模疫学調査の興味深い成績が公表されたと報じています。
その疫学調査では、
16歳以上のがんに罹患していない男女約16万3,000人を追跡調査したところ、
- 平均9年半の追跡期間中に1万6,267人が死亡した
- この内がんによる死亡者は4,353人と約4人に1人ががんで死亡した
対象者は疫学調査への登録時に精神的健康を評価する「GHQ-12」に回答しており、
GHQ-12による気分障害とがんによる死亡の関係を解析したところ、
GHQ-12スコアが12~7点で抑うつ気分が強い人はGHQ-12スコアが低い人より、
結腸・直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、食道がん、白血病で死亡するリスクが高い
ことが明らかになったという。
特に、
結腸・直腸がん、前立腺がんによる死亡者数はGHQ-12スコアが高いほど増加した
ということです。
研究者は、
うつ病や躁うつ病などの気分障害は、特定のがんの未診断や、がんの初期のうちに先行して発症している可能性がある
と推察しているのです。
警告うつ病はがんの初期症状
実は、うつ病はある種のがんの初期症状だとも言われており、
がんに先行して現れる、うつ病や躁うつ病などの気分障害は、
警告うつ病
ともいわれ、がんの予兆ともいわれているのです。
警告うつ病が多いがん
この警告うつ病は、ある種のがんで多く見られ、
特に、
警告うつ病は膵臓がんの早期発見の手掛かりになるとも言われ、
すい臓がん患者の約50%で、
がんによる身体症状の異常を自覚する約6ヵ月前にうつ状態などの精神症状が先行するといわれています。
警告うつ病はすい臓がんで現れる割合が約50%と高いのですが、
その他のがんでは、
- 喉頭がん : 45%
- 乳がん : 30%
- 結腸がん : 25%
- 子宮頸がん : 23%
ともいわれています。
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警告うつ病の特徴
うつ病の原因は一つではなく様々な要因が重なって発症するのですが、
- ストレス
- 人間関係の悩み
- 学校や仕事などでの問題
がきっかけになる場合が多いのです。
しかし、
思い当たる原因はないにもかかわらず抑うつ症状が出た場合には、
念のため血液検査や健康診断などを受けてみることはがんの早期発見に繋がる可能性があります。
警告うつ病の特徴
警告うつ病も一般のうつ病も症状としては抑うつ状態が続くことですが、
警告うつ病では、
- 生活や仕事も安定しており原因が思い当たらない
- うつ病の要因がなく、初めての抑うつ状態になった
- うつ状態が次第に激しく悪化していく
- 抑うつ状態に日内変動がなく終日継続する
- 短期間に体重が減少し、体力も減退した
- うつ状態は軽度で抗うつ薬を服用しても改善しない
など、通常のうつ病とは少し異なった特徴があります。
うつ病とガンの関係では、次のような仮説があります。
警告うつ病がどうして起こるのかについてはまだ明らかになっていません。
- うつ病ではナチュラルキラー細胞の活動が低下してがん細胞を攻撃する力が弱くがんが発症しやすい
- がん細胞で作られる抗体が受セロトニン容体と結合しセロトニンの働きが弱くなりうつ病が起こりやすくなる
などの仮説がありますが、
- うつ病ががんを起こしやすくするのか
- がんがうつ病を引き起こすのか
という、因果関係も明らかになっていないのです。
やや高齢で、うつ病の原因が思い当たらないのに抑うつ状態が続くようなときにはがんを疑ってみる必要もありそうです。
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