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    Categories: 産後うつ病

男も育児でパタニティーブルーになる

ご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

マタニティーブルーは良く聞きますが、

それではパタニティーブルーをご存じですか?

マタニティーブルーは女性における、産後の情緒不安定ですが、

パタニティーブルーは男性の育児に起因する情緒不安定です。

最近は、イクメンといって育児に参加する男性が増えているのですが、

イクメンブームに伴って男性のパタニティーブルーが増えているのです。

どんな男性がパタニティブルーになりやすいのか?

あなたは大丈夫ですか?

 

 

男性の育児によるパタニティーブルーとは

出産後に女性がマタニティーブルーになることは良く知られていますが、パタニティーブルーというのをご存じですか?

パタニティブルーとは、男性が、妻(またはパートナー)の出産前後に伴う環境の変化によって、情緒が不安定になる状態のことです。

パタニティブルーは、妻の出産後の時間経過につれ増えて、産後6ヵ月くらいまで続いたりしますが、改善しない場合にはうつ病症状を呈したり、子育てを巡って家庭内で争いが絶えない状態になったりします。

マタニティー(maternity)は母性のとか妊婦のという意味ですが、パタニティ(paternity)とは父性のという意味です。

パタニティーブルーで見られる症状は、

  • 睡眠不足や不眠
  • 食欲不振
  • 興味喪失
  • 脱力感や気分の落ち込み
  • 疲労感や性欲減退
  • 強迫観念

などで、赤ちゃんを得て嬉しいはずなのに、気分がすぐれず落ち込んだ気分になるのです。

マタニティーブルーは分娩した女性の30%で見られると言いますが、パタニティーブルーの頻度は10%前後と言われていますが、イクメンブームの盛り上がりで増加しつつあるそうですが、パタニティーブルーは今に始まった事ではなく、パタニティブルーの報告は古く1987年頃には症例が報告されているそうです。

 

マタニティブルー パタニティーブルー
対象 母親 父親
期間 分娩から4週間程度 産後6ヵ月程度
原因 ホルモン変化 育児
転移 産後うつ うつ病


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パタニティーブルーは育児が原因

女性のマタニティブルーの大きな原因は出産前後に起こるホルモンバランスの変化です。

分娩によって、卵巣ホルモンや黄体ホルモンが急激に変化するのですが、この変化に身体が馴染めず、体調、精神が不安定になるのです。

男性では、妻の出産で自身の体内に変化が起こることはありませんから、パタニティーブルーの原因は、妻の出産に伴う環境の変化です。

パタニティブルーの原因は、赤ちゃんが生まれたことにより、家庭内での役割が増えることや、育児への責任、育児への不安、など家庭内の環境の変化によって引き起こされるのです。

したがって、出産直後から見られるマタニティーブルーに比べ、パタニティーブルーが見られるのは主産後数か月からと遅くなるのです。

1.生活の変化

妊娠中もそうですが、赤ちゃんが生まれると生活は一変します。

夜泣き、授乳、おむつの交換など、赤ちゃんは夜中でも待ってくれませんから、男性も睡眠不足になりがちです。

また、最近は男性も育児に参加するようになりましたので、ミルクの調整、おむつの交換、入浴など、今までやっていなかった新しい仕事が発生し、肉体的な負担に加えて小さな生命に対する不安など心理的負担も少なくありません。

2.夫婦関係の変化

夫婦で過ごしていた大人中心の生活から赤ちゃん中心の生活に変わり、そして、妻は夫の面倒よりも赤ちゃんの面倒を優先することが多くなり、寂しさを覚えたり、不満がつのることも多いでしょう。

夫婦の会話が減ったり、夜の性生活も疎かになることで、夫婦間が冷えてしまうことも少なくありません。

妻がマタニティーブルーになってしまうと、妻がイライラすることや夫に当たることも多くなり、妻がマタニティーブルーで落ち込んでしまったりすると同調してブルーな気持ちになってしまうことも多いのです。

3.仕事と育児の両立

男性でも育児休暇を取ることが多くなり、男性の育児休暇取得率は2011年度には2%を越えましたが、まだまだ一般的ではありません。

育児休暇を取らないまでも、育児を助けなければとできるだけ早く退社したいと気持ちが焦ります。

しかし、遅くまで頑張っていた人にとってはキャリアへの影響を懸念し、将来に不安を感じる人も少なくなく、育児と仕事のジレンマに陥ってしまうのです。

「夫が働き、妻が育児をする」という古い観念から、イクメンという「男性も育児に参加する」という風潮に変わってきましたが、父親の育児参加が増加することにより父親に精神的・身体的症状の出現が増え、パタニティーブルーが増えているのです。

アメリカの報告では、

  1. 女性が妻の妊娠中や出産後にうつ状態を経験する割合は8.2%
  2. 父親がうつ状態になるのは25.6%でピークは出産後3~6か月頃

という報告があります。

マタニティーブルーもパタニティーブルーも夫婦間の接し方で防ぐことができます

⇒ 夫のパタニティーブルーを防ぐには


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