誰でも、“ゆうつ”な気分になることがあります。
私もこのブログを書きながら、
- みんなのためになっているのかな、、、
- こんなこと書いても誰も読んでくれていないんじゃないか、、、
- いつまでも続けても意味がないんじゃないだろうか、、
と、落ち込んでしまうことがあります。
私がこのブログを書き始めたのは、
- 家内の弟が精神的疾患に病んでいること
- 新薬開発に携わっていることから医学的知識もある
そして、
- 少しでも悩んでいる人の助けになれば
と書き始めたのです。
しかし、時々、ゆううつな気持ちになることも多いのです。
そんなときに、うつ病の自己診断をしてみると、エッツと思ってしまうのです。
うつ病の患者が増えている
あなたの会社でうつ病で休んでいる人はいますか。
公務員の統計では、国家公務員、地方公務員ともおよそ1%程度が、主にうつ病などの精神疾患で休職しているそうです。
民間企業ではこのような数字は公表していませんが、この程度の数字ではないかといわれています。
なお、残業も多く、精神的なストレスが多いIT企業のシステムエンジニア関連の業務では3%程度だそうです。
民間企業では、人事担当者にとっては精神疾患による休職者の増加は頭を悩ませられることだそうです。
たかだか1%といっても、1,000人台の企業では10人が、1万人もの企業になると100人もの休職者となるのです。
厚労省の平成23年度の調査では、うつ病で医療機関を受診している患者は100万人だといわれています。
うつ病の患者数は15年ほどで2倍以上に増加しています。
これは、前にも書きましたが、
うつ病は心の風邪
という、製薬会社の啓発キャンペーンに影響されたということがもはや明らかなことなのです。
企業のストレスチェックがスタート
さらに、2015年12月から始まった、「ストレスチェック」も、うつ病の増加に拍車をかけそうです。
ストレスチェックは、厚生労働省が、事業者(企業)に労働者(社員)のストレスチェックと面接指導の実施を法律で義務づけたのです。
まだ知らない人も多いのですが、企業は年に1回程度、調査票によるストレスチェックを実施し、ストレス度が高い社員については、本人から申し出があった場合に、医師による面接指導を受けさせなければいけないと義務づけられたのです。
ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルス不調のリスクを低減させ、職場環境の改善につなげていくことが目的なのですが、企業側はうっぽい社員をうつ休職に向かわせてしまうのではないかとの危惧もあるようです。
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“ゆううつ”も診断次第で“うつ病”になってしまう
上にも書きましたが、
1999年以降のうつ病患者の急増は、
うつ病は心の風邪
という、製薬会社の啓発キャンペーンに影響されたということは間違いのないことなのですが、
さらに、
うつ病の診断マニュアルが効率よくうつ病患者を産み出した
ともいえるのです。
それまでの、
医者の直感頼みによる診断から進歩したのですが、
うつ病でない人までうつ病と診断してしまう弊害も指摘されているのです。
うつ病の診断マニュアル
現在使われているうつ病の診断マニュアルは、1980年代以降に普及した米国精神医学会のDMS(精神疾患の診断・統計マニュアル)で、デファクトスタンダード(事実上の標準)として、世界中の精神科医のバイブルもいえるのです。
DMS-Ⅱ版では、うつ病の原因を遺伝や性格して分類していたため、うつ病の診断では原因を探るのに時間がかかり、効率的な診察ができない状況だったのですが、
DMS-Ⅲ版からは、うつ病の診断は症状による診断へと大きく変わったのです。
すなわち、原因の究明はおこなわず、病状そのものを病名に診断するように単純化されたのです。
さらに、2013年5月に改訂された、
DMS-Ⅴ版に至っては、症状の質問項目を一つひとつ当てはめていく誰でも機械的に診察できるように簡略化されたのです。
具体的には、
下記の9項目について、「最近の2週間で感じられたか」を質問し、
- 抑うつ気分
- 興味または喜びの著しい低下
- 食欲の増加または減少、体重の増加または減少(1か月で体重の5%以上の変化)
- 不眠または過眠
- 強い焦燥感または運動の静止
- 疲労感または気力が低下する
- 無価値感、または過剰・不適切な罪責感
- 思考力や集中力が低下する
- 死について繰り返し考える、自殺を計画するなど
そして、
- 最近2週間の間に、
- 5つ以上の項目が、ほとんど毎日感じられ、
- 社会的あるいは職業的に障害を引き起こしている
という場合には、うつ病と診断されるのです。
詳しく見る ⇒ うつ病のお薦めの自己診断サイト
では、どのように聞くのでしょうか?
Q : どうされましたか?
A : 最近何となく気が重く、やる気も起きないのです。
Q : ほとんど一日中ゆううつな気分ですか?
A : そんな感じです。
Q : 食欲はありますか?
A : 最近は余り食欲がないです。
Q : 最近は良く眠れていますか?
A : あまり良く眠れません。
Q : 気力がありますか?
Q : 疲れ気味ですか?
何となくそんな感じがするので、
A : はい
A : あまりないです
A : 結構疲れを感じています
Q : ここ2週間位すっとそんな感じですか?
A : 多分、そうです、、、、
こんな受け答えをしたら、
- 最近2週間
- 5つ以上の項目が、ほとんど毎日感じられる
ということで、
- では薬を処方しましょう
ということになってしまうのです。
若い頃に比べたら食欲もないし、疲れやすいし、仕事のことが気になってよく眠れていない、、、
「全部そのとおりです」と答える人は私も含めてたくさんいることでしょう。
仕事上のミスや同僚とのチョットした行き違いなどが重なれば誰でも気分が落ち込む、、、。
“ゆううつ”と“うつ病”の境目
“ゆううつ”と“うつ病”の境界は、
落ち込みや憂鬱が仕事や日常生活に支障をきたしているか?
ということです。
すなわち、ゆううつな気分の落ち込みが、どこまで社会生活に影響を及ぼしているのかということです。
DSM-Ⅳの作成責任者であるアレン・フランセス氏は、自著の「正常を救え」の中で、
- うつ病の条件に科学的な必然性があるわけではない
- どこに基準を設定するかの最終判断は主観的になる
と断言しています。
すなわち、うつ病診断の必要条件である、「2週間の持続」という期間についても、客観的な合理性はなくアメリカ精神医学会の識者が、
“このくらいが適当だろう”と多数決で決めたものだ
と述べているのです。
本のタイトルである「正常を救え」とは、本来正常であるはずの者が精神病と診断され過剰な医療行為の下に置かれている、という意味なのです。
今、うつ病の診断で使われている、DSM-Ⅴによって、
本来正常であるはずの者が精神病と診断されて過剰な医療行為の下に置かれている
ということなのです。
「あなたはうつ病ですね。休職したほうがいいです。会社に提出する必要があるなら、今すぐ診断書を書きます。」
初めて診察を受けた医者から、ものの10分足らず、
うつ病はこんな風に簡単に診断されている可能性もあるというのです。
DSM-Ⅳの作成責任者であるアレン・フランセス氏は、
2013年5月に改訂された「DSM-Ⅴ」による診断では本来は投薬の必要がない患者までが薬漬けになる危険性が生じているというのです。
精神の「異常」と「正常」はどう線引きできるのか、素人では難しい問題です。
あなたは単なる“ゆううつ”かも知れません。
立ち止まらないで、もうちょっと歩いてみませんか?
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