糖尿病の診断ではは空腹時血糖値が120mg/dlを越えれば糖尿病。
高血圧では拡張時血圧が140mmHgを越えれば高血圧と診断されます。
うつ病は精神の病気ですから、
糖尿病や高血圧のように診断の基準になる数字というものがありません。
先日ご紹介したように、患者に画像を見せてその反応でうつ病を診断する技術も開発中です。
更に興味深いのは、
うつ病を音声で診断する技術が国内で開発中なのです。
音声でうつ病を診断するのはどのような技術なのでしょうか?
うつ病の診断の現状
うつ病の診断は、アメリカ精神医学会によって作られた、DSM-5や、WHOによって作られたICD-10という国際疾病分類を参考にしながら、患者の症状にあわせ、精神科や心療内科の経験をも参考にして診断されます。
DSM-5の診断基準では、
下記の9項目について、
「最近の2週間の間に、感じられたか」を聞き、
- 抑うつ気分
- 興味または喜びの著しい低下
- 食欲の増加または減少、体重の増加または減少(1か月で体重の5%以上の変化)
- 不眠または過眠
- 強い焦燥感または運動の静止
- 疲労感または気力が低下する
- 無価値感、または過剰・不適切な罪責感
- 思考力や集中力が低下する
- 死について繰り返し考える、自殺を計画するなど
そして、
- 最近2週間の間に、5つ以上の項目が、ほとんど毎日感じられ、
- 社会的あるいは職業的に障害を引き起こしている
という場合には、うつ病と診断されるのです。
抑うつ的な気分、興味の低下、、など、すべて精神的なものですから、患者の答え方によって異なります。
また、精神科や心療内科の経験によって判断しますから、
医師により診断基準が異なる
ことも少なくないと言われています。
つまり、
Aクリニックで、A医師は、「うつ病です」と診断しても、
B心療内科のB医師は、「やや抑うつ傾向が強いですね」と診断されることも多いのです。
従って、
Aクリニックでは、抗うつ薬を処方されますが、
B心療内科では、様子を見てみましょう、、と、薬の処方はないこともあるのです。
したがって、
「かかってはいけない精神科の見分け方」
「良い精神科医の見つけ方」
のような本が売れるのです。
B心療内科に行けば、カウンセリングで治ったかも知れないのに、Aクリニックに行って抗うつ薬を処方され、抗うつ薬を手放せなくなってしまうと言うようなこともありうるのです。
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音声でうつ病を診断
うつ病を客観的に診断する方法として様々な診断技術が開発されているようです。
先日は、
写真を使ってうつ病の再発を予測するシステムをご紹介しましたが、
国内で、
音声でうつ病を診断する技術が開発されています。
この技術を開発しているのは、一般社団法人こころの未来・インスティテュートと慶應義塾大学医学部、独立行政法人・経済産業研究所、統計数理研究所リスク解析戦略研究センター、スマートメディカル(株)ですが、詳細は、独立行政法人・経済産業研究所のプレスリリースに紹介されていますが、
被験者の、
- 性別
- 年齢
- 音声データ
だけで、うつ病状態の有無を診断できるかを検証した結果、
音声データで高い精度でうつ病の診断が可能
であることが確認できたと述べています。
詳しく見る ⇒ 独立行政法人・経済産業研究所
音声によるうつ病の診断技術の開発では、
うつ病の診断では、
- 医師でなければ背診断できず時間とコストがかかる
- 精神症状評価は被験者や評価者の主観に影響を受けて客観性を欠く
などのリスクがあり、
- 音声により感情を同定する技術すでに商業化されている
- 声は生命に直結する感情情報を伝える重大なインターフェースである
- 音声による診断は脳画像測定機器のような高価な装置が必要ない
- 簡便な診断法が確立されればうつ病の早期治療が実現する
ことが期待できるとして、開発に着手したのだそうです。
開発においては、
- 2,000名の被験者に、
- ネットによるオンライン調査で、
- 2ヵ月間隔で3回、音声を吹き込んでもらい音声データを取得
- 同時に、うつ病の質問票(PHQ-9)にてうつ病状態の有無を調査
し、音声によるうつ病診断の可能性を評価したのです。
その結果は、
うつ病の診断において、音声で診断できる可能性は大きいが、
- 一定の時間が経過したあとにうつ病を診断する
- 過去の音声から将来のうつ病を予測する
にはさらなる技術の向上が必要
という結論だったとのことです。
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