パタニティーブルーは父親の産後うつ病

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

パタニティーブルーが増えているそうです。

パタニティブルーをご存じですか?

パタニティーブルーは父親の産後うつ病のことです。

育児に参加するイクメンが増えていますが、パタニティブルーも増えているのだそうです。

パタニティブルーは、もちろん父親の生活にも悪影響を及ぼすのですが、

問題なのは、

パタニティーブルーは幼児虐待にもつながり非常に深刻な問題なのです。

パタニティブルーにならないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?

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男性の産後うつ病パタニティーブルーは妻子にも影響を与える

津田塾大学の須藤 茉衣子氏らは、

父親の産後うつ病であるパタニティブルーは、

  • 父親自身のメンタルヘルスやウェルビーイングだけでなく
  • 妻子にも影響を与える可能性がある

との研究報告を発表しました。

Prevalence and Factors Associated With Postpartum Depression in Fathers: A Regional, Longitudinal Study in Japan.

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

ウェルビーイングとは、健康とは身体的・精神的及び社会的に良好な状態を表す言葉ですが、

気になるのは、「妻子にも影響を与える可能性がある」と言う点です。

この研究は、

  • 父親の産後うつ病の発症ポイント
  • 父親の産後うつ病の期間
  • 父親の産後うつ病と妊娠中に測定された要因との関連

を明確にする目的で、

愛知県西尾市にいて215名の父親において、妊娠中に1回、産後3ヵ月間に5回のデータを収集し、エジンバラ産後うつ病自己評価票を用い父親のうつ病を評価したのです。

その結果、

  1.  215人中36人(17%)が出生後の3ヵ月間でうつ病と診断された
  2.  産後うつ病には妊娠中のうつ病と関連していた

ということが判明しました。

要するに、

  1. 父親の産後うつ病の発生率は17%
  2. 妻の妊娠中にうつ症状があると産後うつ病になりやすい

ということなのです。

須藤氏は、「妊娠中から父親の評価やサポートが重要であることが示された」と述べていますが、私が気になるのは、

  • 父親の産後うつ病の発生率の高さ
  • 父親の産後うつ病は妻子にも影響を与える可能性がある

ということです。


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父親の産後うつ病は幼児虐待に関連する

週刊朝日の7月1日号の特集は男性の産後うつ病でした。

イクメンブームの陰で
増える父親のパタニティーブルー

でした。

その中で、「夫の約2割に産後うつ傾向」とありましたので、津田塾大学の須藤 茉衣子氏の報告した17%とほぼ一緒です。

そして、私の気になっていたことが書かれていました。

 とにかく子供の泣き声が耐えられなくてイライラして手を上げてしまった

と、新潟県に住む29歳の男性Aさんはかつてのことを述べています。

当時2歳の長男を叩いても、怒鳴ってもスッキリした感情はなかった。その後は必ず後悔していた。
自分では気づかなかったが妻から暴力的になったといわれて精神科を受診し、抗うつ剤を処方され改善した。

そうなのです。

国立生育医療研究センターが行った父親の産後うつ病の調査でも、

父親がうつ病になると産後2ヵ月の時点での虐待行動のリスクは4.6倍高くなる

と述べています。

つねる、尻を叩く、大声で叱るなどの虐待行為に至らずとも、

  • 子供への読み聞かせをしなくなる
  • 一緒に遊ばなくなる

などが見られるようになるそうなのです。

国立育成医療研究センターでは、

産後で一番大変なのは母親と脆弱な子供です。それをサポートする父親が倒れると共倒れになる

と警告しています。

パタニティーブルーも産後クライシスの原因

産後クライシスとは、産後2年以内に産後うつ病などが原因になって家庭が崩壊することです。

我が国での離婚率が一番高いのは子供が2歳以下における離婚だそうです。

産後クライシスの大きな原因は母親の産後うつ病が原因であることが多いのですが、父親の産後うつ病が増えていることから今後はパタニティーブルーが産後クライシスの原因になることが増えると思われます。

父親の産後うつ病では、

  • やる気が起こらない
  • いつも不安を感じる
  • イライラする
  • 怒りやすい

などのうつ病に共通した精神的な症状の他に、

  1. 浮気をする
  2. ギャンブルに走る
  3. ふらりと出掛けてしまう

というようなうつ病とは全く関係のないような行動も父親の産後うつのサインだそうです。

 

父親の産後うつ病であるパタニティーブルーが増えています

パタニティーブルーが進めば幼児虐待や産後クライシスに繋がります

産後うつ病を防ぐには夫婦間の思いやりとコミニケーションです。

おかしいな、、と気づいたら受診してみることも大切です。


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