うつ病では悲しい音楽が好きになる
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
先日はうつ病と色の話をしました。
うつ病では好きな色が変わるというのです。
うつ病になると、網膜の色彩コントラストに対する反応が鈍くなることから、
色彩感覚に乏しくなるようなのです。
うつ病の治療では色彩心理学も応用され、
気分が落ち込んだときには赤や黄色などの「世の中が楽しいと感じられる色」に囲まれること気分が高揚されるのだそうです。
では音楽はどうでしょう?
気分が落ち込んだときにはウキウキするような楽しい音楽を聞けば良いのでしょうか?
いやいやどうもそうではなく、
気分が落ち込んだりうつ病の時には悲しい音楽を聴いた方が良いというのです。
うつ病で落ち込んだときには悲しい音楽を聴いた方が良い
うつ病などで気分が落ち込んでいるときには楽しい音楽を聴いた方が良さそうに思うのですが、
南フロリダ大学の研究グループは、
うつ病などで気分が落ち込んだときには悲しい音楽を好む
という研究結果を発表し、
悲しい音楽がうつ病患者の音楽療法に応用できる可能性があるというのです。
Why do depressed people prefer sad music?
くわしく読む ⇒ 原著論文
研究では、
- 健康な女性大学生 : 76人
- うつ病の女性大学生 : 76人
に、
- 幸せな音楽
- 悲しい音楽
を聞いてもらい、感じたことを説明してもらったのです。
ちなみに、
- 幸せな音楽 : 天国と地獄(ジャック・オッフェンバック)
- 悲しい音楽 : 弦楽のためのアダージョ(サミュエル・バーバー)
ですが、
その結果は、
うつ病の大学生は、
- 悲しい音楽に好感を示す
- 悲しい音楽を聴いて幸せな気分になった
- 悲しい音楽を聴いてリラックスできた
という結果が得られたのです。
気分が落ち込んだときには楽しい音楽を聴いた方が気分が高揚するというイメージがあるのですが反対なのですね、、、
研究グループは、
悲しい音楽はうつ病患者の音楽療法に応用できる可能性があると述べています。
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あなたは楽しい音楽と悲しい音楽のどちらが好みですか?
南フロリダ大学の研究グループが研究に用いた、
- 幸せな音楽 : 天国と地獄(ジャック・オッフェンバック)
- 悲しい音楽 : 弦楽のためのアダージョ(サミュエル・バーバー)
という曲をご存じですか?
楽しい音楽というジャック・オッフェンバックの天国と地獄というのは、
悲しい音楽であるサミュエル・バーバーの弦楽のためのアダージョとは、
こんな曲です。
あなたは楽しい音楽と悲しい音楽のどちらが好みですか?
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まとめ
意外な研究結果ですが、
同様な研究は2015年にイスラエルのヒュブロー大学の研究グループも発表しています。
Sad as a Matter of Choice? Emotion-Regulation Goals in Depression
詳しく見る ⇒ 原著論文
悲しい音楽を好む人は、
- 共感力が高い
- 感情の動きを楽しむ
ということが性格であることが分かっているそうです。
先日お話ししたように、
気分が落ち込んだときには赤や黄色などの気分を高揚させる色に囲まれた方が良い
ということのようですが、
気分が落ち込んだときには悲しい音楽を聴いた方がリラックスできるようです。