双極性障害とうつ病を正確に診断する方法

躁うつ病ともいわれる双極性障害は、

  • 躁状態
  • うつ状態

くり返す病気なのですが、

双極性障害のうつ状態はうつ病のうつ状態と非常に似ているのです。

そのため、

双極性障害がうつ病と診断されてしまうことも少なく、

双極性障害の患者の3/4は、初診時にはうつ病と診断されていたとの調査結果もあるほどなのです。

しかし、

双極性障害とうつ病は全く異なる病気であるため治療法も異なり、正しく診断することが重要なのです。

現在は問診などにより類症判別するより方法がないのですが、

山口大学の研究グループは、

脳の体積を測定することで双極性障害とうつ病を判別できる方法を発見した

と発表しました。

 

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双極性障害とうつ病を判別できる方法が

山口大学大学院医学系研究科、高次脳機能病態学講座の松尾幸治准教授らの研究グループは、

双極性障害患者とうつ病患者の脳の体積を測定し、

脳の体積の差異から双極性障害患者とうつ病患者を判別できる

ことが明らかになったと発表しました。

 

詳しく読む ⇒ 山口大学プレスリリース

 

研究成果はイギリスの科学雑誌であるCerebral Cortex誌に掲載されました。

Distinctive neuroanatomical substrates for depression in bipolar disorder versus major depressive disorder

 

詳しく読む ⇒ コチラ

 

この研究は日本とアメリカの患者を対象にしておこなわれ、

わが国では、

  • うつ状態のうつ病患者 : 596人
  • うつ状態の双極性障害患者 : 158人
  • 健常者 : 777人

アメリカでは、

  • うつ状態のうつ病患者 : 43人
  • うつ状態の双極性障害患者 : 36人
  • 健常者 : 132人

について、

  • 脳のMRI画像を撮影して画像を解析

したのです。

 

その結果、

  • 双極性障害ではうつ病より左右の背外側前頭前皮質5と前帯状皮質6の部位の体積が小さい

ということがわかったのです。

 

さらに、

  • 双極性障害とうつ病では健常群より右側の前帯状皮質と広範囲の前頭皮質が小さい

ということもわかったのだそうです。

この方法により、

  1. 双極性障害を88.1%の精度で判別できる
  2. うつ病を75.9%で精度で判別できる
  3. 双極性障害とうつ病を63.4%の正確さで判別することができる

としています。

 

研究グループでは、

この研究がさらに進めば、双極性障害とうつ病のより適切な治療を行えるだけでなく、

これらの脳の部位をターゲットにした新しい治療法が開発につながると述べています。

 


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双極性障害とうつ病は違う

双極性障害の患者は世界に6,000万人もいると言われていますが、

双極性障害はうつ病と同様に気分障害というカテゴリーに分類される精神疾患です。

 

国内では500人に1人が双極性障害だともいわれています。

 

双極性障害は、

  • 躁状態
  • うつ状態

をくり返すため、躁うつ病とも言われています。

双極性障害のうつ状態はうつ病のうつ症状と非常に似ており、

 

そのため、

双極性障害がうつ病と間違われて診断されることも少なくなく、

 

双極性障害だと正確に診断されるまで4年もかかったとの報告もあります。

詳しく読む ⇒ うつ病と双極性障害の違い

 

双極性障害

うつ病は双極性障害と間違われやすく双極性障害かもしれません

 

うつ病

双極性障害4

 

双極性障害とうつ病では治療法が違う

日本うつ病学会は、

双極性障害の特徴として、

  1.  重い病態へ急に変化することがある
  2.   うつ状態に抗うつ薬は効果がない
  3.  障害の程度が重い
  4.  罹病期間が長い
  5.  自殺率が高い

などを挙げていますが、

双極性障害のうつ状態に抗うつ薬を投与しても効果がないのです。

 

双極性障害の躁状態では、

  • 気分が高揚
  • 多弁
  • 活動的

であるため、病院に行く患者は少なく、

うつ状態になったときに病院に行ってうつ病と診断されることが多いのです。

 

しかし、

抗うつ薬は効果がないのですが病相が躁状態に変わると治ったと勘違いされてしまうのです。

 

双極性障害の治療においては、

  • 躁状態  : 気分安定薬、抗精神病薬
  • うつ状態 : 気分安定薬一部の抗精神病薬

が処方されるのが基本です。

さらに、

  • 予防として、 気分安定薬、一部の抗精神病薬
  • 不眠には、睡眠薬、一部の抗精神病薬

を処方されます。

 

うつ病と診断され長期にわたって通院していたうつ病患者が実は双極性障害だったと言うことも希ではなく、

双極性障害であることがわかって治療法を変えたらすぐに好転したという人も少なくないのだそうです。

詳しく読む ⇒ うつ病は双極性障害と間違われやすい

 

  • うつ病と診断され抗うつ薬を飲んでいるが改善しない
  • うつ状態と改善がくり返す

ということであれば双極性障害の可能性もあるのです。

 

 

山口大学の研究グループによる双極性障害とうつ病の判別方法が実用化されればこのような問題もなくなるのですが、

現時点では問診に頼らざるを得ません。

 

双極性障害でもうつ病でも、

医療機関を受診するときには精神科医がいる

  • 心療内科の精神科
  • 神経内科の精神科
  • 神経科の精神科

などの診療科を受診すべきです。

 


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