糖尿病ではうつ病を併発しやすい
うつ病は精神的疾患。
糖尿病は代謝性の疾患。
うつ病と糖尿病は全く関係がない疾患と思われるでしょうが、
- うつ病の患者は糖尿病になりやすい
- 糖尿病の患者はうつ病になりやすい
ということは多くの疫学調査で明らかになっており、
- うつ病 → 糖尿病
- 糖尿病 → うつ病
と、どちらのパターンも多いのです。
抗うつ薬が2型糖尿病の発症に関与しているという研究報告もあるのですが、
うつ病の患者では、
- 生活リズムの乱れ
- 食生活の乱れ
- 運動不足
などが多く、これらが糖尿病を引き起こす原因だともいわれています。
うつ病患者が糖尿病を併発すると、
糖尿病の自己管理が難しく糖尿病が進行してしまうケースも多いといわれています。
糖尿病もうつ病も生活習慣病といわれ、
- 規則正しい生活リズム
- 食生活の見直し
- 運動不足の解消
に心掛ければ、
うつ病も糖尿病も必ず改善するのです。
糖尿病ではうつ病の併発率が高い
国立、精神・神経医療研究センター 精神保健研究所は、
糖尿病とうつ病の併発について報告しています。
糖尿病患者におけるうつ病の有病率とネガティブな影響
詳しく見る ⇒ 精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
この研究では、
うつ病と糖尿病の併発に関する39の研究論文を精査しメタ分析したのですが、
糖尿病患者の中で、
- うつ病を併発している人は 11.4%
- うつ病の疑いがある人は 31.0%
と、糖尿病患者の半数でうつ病やうつ病の疑いがあることがわかったのです。
日本人のうつ病の生涯有病率は3~7%といわれており、日本人の3~7%は一生のうちにうつ病を発症するといわれているのですが、
糖尿病患者では非常にうつ病の併発率が高いのです。
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うつ病を併発すると糖尿病は悪化する
糖尿病は生活習慣病といわれ、
- 食生活の乱れ
- 運動不足
などによる肥満が大きく関与しているメタボリックシンドロームの1つです。
糖尿病そのものは大きな自覚症状もないのですが、
高血糖を放置しておくと血管壁が傷害され、さまざまな合併症が起こってきます。
微少な血管が傷害されると、
- 神経障害(進行すると下肢の切断)
- 病網膜症(進行すると失明)
- 腎症 (進行すると人工透析)
などを引き起こし、
大きな血管が傷害されると、
- 心筋梗塞
- 脳卒中
などを引き起こすことになるのです。
国立、精神・神経医療研究センター 精神保健研究所の研究グループは、
うつ病の重症度と糖尿病合併症の重症度に関する27の研究論文を精査してメタ分析し、
うつ病と関連性が高い糖尿病の合併症
を調べたのですが、
その結果、
うつ病に関連性が高い糖尿病の合併症は、
関連性の高い方から、
- 性機能障害(ED)
- 神経障害
- 腎症
- 大血管障害
- 網膜症
の順であるこがわかったというのです。
糖尿病にうつ病を併発することにより、
上記のような合併症がより悪化することがわかったのですが、
うつ病を併発すると、
- 医療費が4.5倍上がる
- 血糖コントロールが悪化する
- 生活の質が悪化する
- 死亡率が1.6倍上がる
などのマイナス効果があることもわかっているのです。
今回は、「糖尿病にうつ病を併発する」パターンについて多くお話しましたが、
「うつ病に糖尿病を併発する」パターンについては、うつ病では糖尿病になりやすいでお話ししたように、
詳しく見る ⇒ うつ病では糖尿病になりやすい
最近の研究により、
さらに最近の研究では、
うつ病では、
- 食後血糖値が高くなりやすい
- インスリン濃度が高い
- インスリン抵抗性が高い
ということが明らかになっており、
うつ病が改善するとこれらの糖尿病関連のリスクファクターも回復することもわかっています。
したがって、
まずはうつ病の治療に専念することが一番なのですが、
最近では、うつ病は生活習慣病ともいわれており、
- 規則正しい生活リズム
- 食生活の見直し
- 運動不足の解消
に心掛ければ、
うつ病も糖尿病も自然と改善するのです。
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