β-ヒドロキシ酪酸はうつ病を改善する|鳥取大学
鳥取大学医学部の研究チームが、
肝臓で作られるβヒドロキシ酪酸という物質にうつ病を抑制する作用があることを世界で初めて発見した
というニュースが新聞やネットで評判になっています。
今回の実験はラットを用いた実験で、今後はうつ病患者を対象にした治験をおこないどの程度の効果があるか確認するのではないかと思われますが、うつ病の治療に応用されるまでは数年以上かかることでしょう。
しかし、
βヒドロキシ酪酸はケトン体といわれる物質で誰の体にもあるのです。
そして、
β-ヒドロキシ酪酸を増やす方法は非常に簡単なのです。
β-ヒドロキシ酪酸はうつ病
鳥取大学医学部の研究グループが、肝臓で作られる物質にうつ病を抑制する作用があることを世界で初めて発見したというニュース、
毎日新聞をはじめ大手の新聞やTVニュースそしてインターネットで数多く報道されましたからあなたもご存じだと思います。
詳しく読む ⇒ 毎日新聞電子版
鳥取大学医学部付属病院の岩田正明准教授らの研究グループは、
体内でできるβヒドロキシ酪酸という物質にうつ病を改善する効果があることを世界で初めて確認した
というのです。
そして、今後、
新たな治療薬の開発につながることが期待される
とのことなのです。
研究グループは、
β-ヒドロキシ酪酸を投与したラットに、
- 夜間ライトを点灯するなどのストレスを1ヵ月間加えてうつ病を誘発し、
うつ病の程度を、
・遊泳させたときに泳ぎをを停止する不動時間
・閉所に閉じ込めて急性ストレスを加える
で判定したというのです。
その結果、
- β-ヒドロキシ酪酸を投与したラットでは不動時間が30%短い
- 急性ストレス後の脳内炎症物質(IL-1)が30%少ない
という結果が得られ、
βヒドロキシ酪酸にはうつ病を改善する効果がある
ことは分かったというのです。
研究グループは、
うつ病を抑制する新しい治療の可能性が出てきた
とコメントしています。
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うつ病を改善するβ-ヒドロキシ酪酸とは
研究グループは、
今回実験に用いたβ-ヒドロキシ酪酸は体内で生成される物質であるため副作用も抑えられると述べていますが、
β-ヒドロキシ酪酸は誰の体内にもある物質で、もちろん、あなたの体内にもあるのです。
β-ヒドロキシ酪酸は、空腹時や運動時などに体内で糖分が不足したときに代替のエネルギー源として生成される物質です。
βヒドロキシ酪酸は、体内で脂肪酸が分解して産生される脂肪酸代謝産物でケトン体といわれます。
ケトン体には、
- アセトン
- アセト酢酸
- βヒドロキシ酪酸
という3つの種類があり、β-ヒドロキシ酪酸はケトン体の一つなのです。
脂肪酸がβ酸化てアセト酢酸が作られ、それがさらにβヒドロキシ酪酸に変化するのです。
脂肪酸 ⇒ アセト酢酸 ⇒ βヒドロキシ酪酸
β-ヒドロキシ酪酸などのケトン体は、空腹時や飢餓時に血糖(ブドウ糖)が低下したときに脳神経細胞のエネルギー源として利用されるのです。
すなわち、
脳は通常はブドウ糖をエネルギー源としているのですが、脳のブドウ糖が不足した場合には、肝臓で脂肪酸がケトン体に変えそれて脳に送られ代替エネルギーとして使われるのです。
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うつ病を改善するβ-ヒドロキシ酪酸を増やすのは簡単
鳥取大学の研究成果に基づいて、
いずれは、
- β-ヒドロキシ酪酸を増やす薬物
- β-ヒドロキシ酪酸のサプリメント
などが開発されることでしょう。
しかし、あなたの体内のβ-ヒドロキシ酪酸を増やすことは非常に簡単なことです。
上にも書きましたように、
血糖が低下すると肝臓で代替エネルギーとしてβ-ヒドロキシ酪酸が作られる
のです。
ですから、
β-ヒドロキシ酪酸を作るには血糖値を下げれば良い
のです。
糖質制限はβ-ヒドロキシ酪酸を増やす
糖質制限という言葉を目にしたことはありませんか?
糖質制限とは、
- 糖尿病
- ダイエット
などでおこなわれる食事療法で、
炭水化物(糖質)の摂取量を減らす食事療法
なのです。
「結果にコミットする」というコマーシャルで有名なライザップは、「糖質制限+筋トレ」を実践しています。
体内のβ-ヒドロキシ酪酸の濃度は食事により変わります。
- 糖質をを含む通常の食生活 : 0.1(mmol/L)以下
- 朝食を食べないで昼食の前 : 0.1~0.3(mmol/L)
- 一週間以上断食 : 5~7(mmol/L)
と、空腹時にはβ-ヒドロキシ酪酸の濃度が上がります。
糖質制限では、
- 50g以下の糖質制限 : 0.5~3.0(mmol/L)
と上昇するのです。
通常の食事における糖質量は80~120gといわれますから、糖質量50gとはご飯やパン、麺類の量を半分にした糖質制限です。
糖質制限でうつ病が治った
前に書きました、
これは、
起きられないようなうつ病の症状が、
1ヵ月の糖質制限でうつ病が治った
という、草木さんという漫画家が自分のうつ病の闘病記をかいたものです。
その他にも、糖質制限でうつ病が治るという報告はたくさんありますし、
炭水化物である「小麦粉はうつ病の原因」だとする説もあるのです。
また、「ジャンクフードの食べ過ぎでうつ病のリスクが58%上がる」との報告もあります。
今回の鳥取大学の研究グループの研究成果は、これらの事実を科学的に裏付けするものだと思います。
抗うつ薬の服用も重要ですが、食生活を見直してみませんか?
うつ病のための糖質制限を指導するプログラムもあります。
私も購入しましたので、興味ある方は参考にして下さい。