うつ病には揚げ物より魚が良い
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患などの新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
揚げ物を嫌いな人はいないでしょう。
- 唐揚げ
- フライポテト
- 天ぷら
- とんかつ
子供から大人まで、ほとんど毎日、高カロリーだと知りつつも揚げ物を食べひとが多いと思います。
しかし、
- 揚げ物の食べ過ぎはストレスに対応する能力が低下し
- 揚げ物の食べ過ぎはうつ病になる
というのです。
あなたはどれくらい揚げ物を食べていますか?
揚げ物の食べ過ぎはうつ病になる
揚げ物は高カロリーだと知りつつも、週に何回か、あるいはほぼ毎日食べているのではないでしょうか。
しかし、
日本医科大学の研究グループは、
揚げ物の食べ過ぎはうつ病のリスクを高める
という研究報告をしました。
揚げ物を食べる頻度が高いと、抑うつに対するレジリエンスが低下してうつ病になるリスクが高まるというのです。
Association between frequency of fried food consumption and resilience to depression in Japanese company workers: a cross-sectional study.
CONCLUSION : Frequency of fried food consumption was associated with lower resilience to depression. Further nutritional interventional studies to increase resilience and prevent depression are warranted.
詳しく読む ⇒ 原著論文
レジリエンス(resilience)というのは、本来は物理学の用語で「弾力」や「跳ね返す力」という言葉ですが、最近は精神疾患を発症させないための「防御力」、「抵抗力」や、精神疾患を治すための「回復力」という意味でも使われるようになりました。レジリエンスが低下すれば、「うつ病になりやすく」、「うつ病が治りにくい」のです。
研究グループは、
- 日本企業に勤務するサラリーマン 715人
(都市部の大企業6社で働き、平均年齢39.9歳、83.4%が男性、65.2%が既婚者)
を対象に、
- 揚げ物と魚の摂取頻度
- 抑うつ症状の測定
- レジリエンスの測定
の関係を調べたのです。
揚げ物と魚の摂取頻度については、過去6ヵ月間において「ほぼ食べない」、「月に1~3回」、「週に1~2回」、「週に3~4回」、「週に5~6回」、「毎日」の6頻度から選択させたのですが、715人の平均摂取頻度は、揚げ物は週に3~4回、魚は週に1~2回だったそうです。
解析の結果は、
- 揚げ物の摂取頻度が高い人ほど抑うつ症状は強くレジリエンスが低い
- レジリエンスが低い人はうつ病リスクが高い
という結果が得られたというのです。
研究グループは、
揚げ物の摂取頻度が高い人ではレジリエンスが低下して抑うつリスクが高くなっている
と結論しています。
Sponsored Link
魚はうつ病を予防する
さらに研究グループは、
魚の摂取量が多いとレジリエンスが高くなる
との報告もしています。
Fish consumption and resilience to depression in Japanese company workers: a cross-sectional study.
CONCLUSIONS : Fish consumption might be associated with resilience to depression. Further studies are needed, particularly double blind randomized placebo controlled intervention trials on the potential preventative effect of LC n-3 PUFA on resilience to depression.
詳しく読む ⇒ 原著論文
研究グループは、揚げ物の摂取頻度を調べたときと同じように、
魚の摂取頻度と抑うつとの関係も調べたのです。
その結果、
解析の結果は、
- 魚の摂取頻度が高い人ほど抑うつ症状は低くレジリエンスが高い
- うつ病リスクが高い人ほどレジリエンスが低い
という、唐揚げの摂取頻度とは逆の結果が得られているのです。
Sponsored Link
うつ病を予防するには食事のバランス
最近、食事の西洋化がうつ病のリスクを高めているとの研究報告が多数あります。
本来の日本食は魚中心の食事、西欧食では揚げ物など油を使ったメニューが多いのが特徴です。
- 魚にはオメガ3脂肪酸が多く、
- 揚げ物に使われる植物油にはオメガ6脂肪酸が多く、
含まれるのですが、
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は感情調整において重要な役割を担っている
のです。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取量のバランスが崩れると感情調節がうまくいかなくなり、うつ病などの精神疾患が起こりやすくなる可能性が示唆されているのです。
オメガ脂肪酸は必須脂肪酸
脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありますが、
リノール酸に代表されるオメガ6脂肪酸とリノレン酸に代表されるオメガ3脂肪酸は必須脂肪酸といわれ、私達の体内では作ることができないため、食物から摂る必要があるのです。
オメガ6脂肪酸の摂りすぎは病気を引き起こす
サラダ油など揚げ油に含まれるオメガ6脂肪酸(リノール酸)の摂りすぎは様々な病気を引き起こすことが知られています。
名称 | 成分 | 食品 | 作用 |
---|---|---|---|
オメガ6脂肪酸 | リノール酸 リノレン酸 アラキドン酸 |
ベニバナ油、大豆油 母乳、月見草油 体内合成、魚油 |
コレステロール低下摂り過ぎはDHLを減少 |
オメガ3脂肪酸 | リノレン酸 EPA DHA |
エゴマ、シソ油 青魚 青魚 |
動脈硬化予防、がん抑制、認知症予防 |
一価不飽和脂肪酸 | オレイン酸 | オリーブ油 アーモンド油 菜種油 |
LDLコレステロールを減少 HDLコレステロールを増加 |
必要以上にオメガ6脂肪酸を摂ると炎症を促す作用が強くなり炎症系の体質になるのですが、
オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸によって引き起こされる炎症作用を抑制する作用があり、2つの脂肪酸の摂取バランスが健康を左右するのです。
オメガ6脂肪酸を摂りすぎオメガ3脂肪酸は不足
農水省の推奨するオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率は4:1ですが、多くの栄養学者は2:1をすすめています。
しかし、日本人の平均摂取比率は10:1から多い人で50:1だといわれて、農水省の推奨する摂取比率を大幅に上回っているのです。
オメガ6脂肪酸を摂りすぎてしまう原因は揚げ物の摂りすぎです。
オメガ6脂肪酸は、大豆やごま、トウモロコシなど植物油の原料に多く含まれ肉などにも含まれますから、普通の食事で十分に摂れているのです。
ですから、そこに揚げ物をたくさん摂るとオメガ6脂肪酸の摂りすぎになってしまうのです。
植物油で揚げた揚げ物などにがオメガ6脂肪酸が多く、
揚げ物の食べ過ぎは、レジリエンスが低下して抑うつリスクが高くなってしまうのです。